「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」(厚労省)傍聴レポート

  第22回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を傍聴してきた。
  厚労省のこのような検討会で大麻が医療上必要性のある未承認薬として検討議題にあがる可能性があるかどうか、知りたかったのである。
  意外に参加者は多く、300人は超えていたかもしれない。医師・研究者のほか、製薬会社のスタッフも目立った。
  私が疑問に思っていた「未承認というのは、海外では承認されているが日本ではまだ承認されていないという意味なのか、海外でも未承認だが、医療上の必要性が高いとして例外的に使用を承認しているものを含むのかどうか」という点については明確になった。

  これまでの検討会では「英・米・仏・独・加・豪」のいずれかの国で承認されている医薬品が対象だったが、今後は、それらの国で承認されていなくても検討することになったのである。
  海外で臨床試験や論文でその効果が優れていて医療上必要性の高いことが確認された場合、製薬企業がその未承認薬の開発を促進し、患者が利用しやすくするのが目的である。
  これは、日本の医薬品の承認には非常に時間がかかり、海外で効果があるとされている薬を日本の患者が使用できないというドラッグ・ラグ(ラグは時差)を解消するためである。
  当然、生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)で、病気の進行が不可逆的(治らない)で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であること、しかも既存の療法が国内になく、欧米等の臨床試験において有効性・安全性等が既存の療法と比べて明らかに優れていることが条件となる。
  ここで私の裁判の判決が思いおこされる。
「(大阪地裁判決)医療目的での大麻使用は研究段階にある以上,人体への施用が正当化される場合がありうるとしても,それは,大麻が法禁物であり,一般的な医薬品としては認められていないという前提で,なおその施用を正当化するような特別の事情があるときに限られると解される。」
  つまり日本、海外のどちらにおいても、未承認の医薬品であっても、生命に重大な影響がある疾患であるにもかかわらず、既存の療法がない場合には使用が正当化される、つまり無罪とすべきであるということである。この判決の主旨については、高裁・最高裁も否定していない。
  今回参加して感じたのは、このような未承認薬の推進に関しては、厚労省が製薬会社だのみになっている部分があり、また、製薬会社としては医薬品開発を前提としていることである。
  大麻に関して言えば、海外の臨床試験などの結果から、あるいは患者による実際の使用経験から、大麻は加工しなくても自然のままで効果が高いことがありえることが明らかになっている。つまり製薬会社としては医薬品として商品化するメリットが小さく、また厚労省側にとってもこれまでの治験から製薬承認という流れに沿わない可能性があることから、検討対象としてなかなか取り上げてもらえない恐れがある。
  未承認薬の使用に道を開くという意味ではこの検討会に意味はあるが、大麻のように製薬会社の直接の利益につながりにくいようなものについては、産官学協同という原則が壊れない限り、対応があとまわしになる恐れはある。
  ただ添付書類(右上)にあるように、「学会」や「患者会」の声を検討するともなっており、大麻を求める患者と患者に接する医師らの声が反映されなくもないとは言える。
  もうひとつは、「医療上の必要性の高い未承認薬」という観点を、さらに「未承認薬の人道的使用」という医療倫理的な観点に発展させ、コンパッショネート・ユースという制度をつくり、その枠組みのなかで対応するということも可能であろう。欧米では医療大麻はこの制度を適用されているが、日本ではこの制度そのものがまだない。
  「医療上の必要性の高い未承認薬の検討」は、「コンパッショネート・ユース」という制度と同時に検討されるべきだと考える。  (文責 前田 2015/01/23)

 

 


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