後日談

  このあと、何回か、患者さんから相談を受けた。さすがに「入手して下さい」という直接の依頼はなかったものの、「この病気にはあきらかに効果があるのに」という症状に対しては、何ともできない自分自身への怒りのような感情を禁じえなかった。
  特に私に会った数ヵ月後には自殺を図った末期がんの夫を持つ女性には、本当に何とかしてあげたかった。
  多発性硬化症で苦しむ患者さんの症状を聞いているうちに、「ああ、なんとかしてあげられたら」ともどかしい思いで、本当につらかった。
  難病のあまりもの疼痛で精神に異常をきたし、難病以外に精神障害者の認定までされた女性は、「死にたいけれど、幼稚園に通っている子供がいるので死ねない」といい、普段は車椅子で運ばれているのに、私に会うのに失礼だと無理やり強い薬を飲んで、松葉杖で尋ねてきたときは、思わず「何とかしてあげます」と言いそうになった。
  しかし私は前科一犯の身である。今度、逮捕されたら確実に懲役刑になる。
  これらの苦しむ人たちを前に、「お前はいったい何をしてるのだ」と、私の内なる声が私を責める。
  「1日でも1分でもはやく医療大麻を合法化したい」という使命感だけは強い。
  私は苦しい。
  私は65歳になる。子供の頃にやりたいと思ったことは、すべてやった。医療大麻合法化だけが残されている。私はそれをやらない限り、満足に死ぬことはできない。

 


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