大麻取締法にはこんな条文もある。
第二十二条の三 厚生労働大臣は、この法律の規定にかかわらず、大麻に関する犯罪鑑識の用に供する大麻を輸入し、又は譲り受けることができる。
2 厚生労働大臣は、前項の規定により輸入し、又は譲り受けた大麻を、大麻に関する犯罪鑑識を行う国又は都道府県の機関に交付するものとする。
3 前項の機関に勤務する職員は、当該機関が同項の規定により厚生労働大臣から交付を受けた大麻を、大麻に関する犯罪鑑識のため、使用し、又は所持することができる。
4 第二項の規定により厚生労働大臣から大麻の交付を受けた機関の長は、帳簿を備え、これに、大麻に関する犯罪鑑識のため使用した大麻の品名及び数量並びにその年月日その他厚生労働省令で定める事項を記載しなければならない。
5 厚生労働大臣は、外国政府から大麻に関する犯罪鑑識の用に供する大麻を輸入したい旨の要請があつたときは、この法律の規定にかかわらず、第一項の規定により輸入し、若しくは譲り受けた大麻又は法令の規定により国庫に帰属した大麻を、当該外国政府に輸出することができる。
大麻は「犯罪鑑識」のためにしか輸入できないということである。医療目的や臨床試験に使用するためであっても、輸入できない。
最近、大麻を全面的に合法化したカナダには、キャノピー(CANOPY GROWTH)という大麻専門会社があり、栽培から製品開発、販売、輸出まで手がけている。カナダの株式市場に上場し、10月25日現在、株価はCA$51.53、収益は30億円以上となっている。
キャノピーには子会社として、Tokyo Smokeがある。
誰がこんな名前をつけたのか?
将来、日本が大きな大麻市場になることを見越して、つけたのだろうか?
ただし、Tokyo smokeは東京には本社や支店はない。
今のところ、アメリカは海外への輸出ができないが、そのうち巨大資本が動き出し、法が改正されるだろう。日本への圧力も大きくなってくる。
オランダにはベドロカン(Bedrocan)という大麻製品専門会社があり、ヨーロッパを中心に10カ国に支社がある。製品はオランダ政府にも納入されている。オランダ政府は海外の政府や研究所から要望があれば、輸出するとしている。
オランダ政府は「1961年の麻薬に関する単一条約では、医療と研究目的を規制から除外している。国際条約の主旨に基づき、医療と研究目的の大麻は供給が確保されねばならない。そのために我々は海外にも輸出している」と説明している。
カナダ、オランダのほか、オーストラリアも海外への輸出を考えている。ただし単一条約によれば、輸出入は両国政府の承認がなければならない。つまり、日本政府が了承すれば、条約的には、輸入は可能である。
「麻薬に関する単一条約」をよく読むと次のようになっている。
「前文:締約国は人類の健康及び福祉に思いをいたし、麻薬の医療上の使用が苦痛の軽減のために依然として不可欠であること及びこの目的のための麻薬の入手を確保するために適切な措置を執らなければならないことを認め・・・・」
例えば手術にはモルヒネが必要だが、そのモルヒネは政府がどこかから調達して、欠品にならないようにしなければならないという意味である。日本は医薬品としての大麻の入手を確保するために適切な措置を執らなければ、国際条約に違反することになってしまうのである。だから、厚労省は大麻を医療効果のある薬品として認めたくないのかもしれない。
日本には大麻取締法22条という鉄壁の防波堤がある。いかなる理由があろうと日本には大麻は入れさせないという厚労省の強い意志があらわれている。しかしその立場は時代と社会と国際基準から大きく乖離している。
大麻取締法を撤廃し、時代と社会と国際基準にあった規制が必要である。