厚労省が回答した「日本で大麻を使えない理由」はウソの塊

  2013年にHUFFPOSTに投稿された全国脊髄損傷後疼痛患者の会の若園氏の原稿
 若園氏は厚労省に日本で大麻を使えない理由を問い合わせたところ、以下のような返信があったそうです。

 

 

 

– – – – – 以下、厚生労働省の見解(2009年)- – – – –

 

  1. 大麻の医療での使用については国際的に様々な科学的議論があるところです。

 

  2.  現時点では「神経因性疼痛」や「求心路遮断痛」に対して、「医療用大麻」を患者に施用することによる効果は明確ではなく、国際麻薬統制委員会(薬物条約の事務局)は各国政府に対して大麻を「医療用大麻」として使うことを容認していないところです。

 

  3. 我が国においては、大麻取締法上、大麻の有害性に鑑み、大麻から製造された医薬品の施用は認めていないところです。

 

  4. なお、海外では、現在、大麻に含まれる有効成分を化学的に合成して医薬品とするものがあります。我が国においては、この範疇の物質は麻薬及び向精神薬取締法上の麻薬としての取扱いとなりますが、医薬品として市場へ提供する企業はない状況です。

 

  厚労省では、このような状況を踏まえつつ、対処することとしています。

 

 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課
 Date: Thu, 20 Aug 2009 20:04:07 +0900

 

 

 

  しかし厚労省の回答はウソの塊である。

 

  1. 様々な科学的議論があるなら日本もそれに加われるように環境整備をすべきであって、主要先進8カ国(G8)のなかで日本だけが大麻の医療使用を禁止する理由にはまったくならない。

 

  2. 大麻が神経因性疼痛に高い効果をもっていることは2009年当時から言われていたが、2017年1月、米国科学・工学・医学アカデミーは、THE HEALTH EFFECTS OF CANNABIS AND CANNABINOIDS(大麻とカンナビノイドの健康への影響:エビデンスの現状と研究勧告)というレポートの中で、大麻が成人における慢性疼痛の治療に決定的または実質的エビデンスがあると報告している。また、線維筋痛症、慢性疼痛には中程度のエビデンスがあるとしている。この「決定的」「実質的」というのは、もはや誰も否定できないという非常に高いレベルである。
  私が昨年11月にサンフランシスコを取材に行ったときについてきたTさんは手術後難治性疼痛に30年間苦しめられてきたが、わずか3日で痛みが止まったという実例がある(動画あり)。
  厚労省は慢性痛、末期がんの疼痛は治療が困難であることを認めているが、この分野の研究は非常に遅れている。
  日本は高齢社会化していくが、抗がん剤などによる治療より、緩和ケアを選択する患者が増えている。緩和ケアとは治療行為を停止して、疼痛の緩和に重点を置く療法で、ホスピス(終末期医療)もそれに含まれる。
  厚労省はがんとわかった時点で緩和ケアを開始すべきであるとしているが、大麻に疼痛緩和作用があるとしたら、末期になる前から大麻を使用したほうがいいということになる。
  国際麻薬統制委員会は「大麻を「医療用大麻」として使うことを容認していない」というのもウソである。2009年の報告書には「我々はこれまでと同様、大麻の医療研究を歓迎する」と書かれている。(容認しないで歓迎できるというのか?)

 

  3. すべての医薬品には有用性と有害性があり、有害性を抑えつつ有用性を利用するのであるが、大麻も同様で、有害性があるから医薬品として認めないというのであれば、モルヒネや胃薬も禁止しないとならない。そもそも大麻取締法が制定された1948年には大麻は禁止すべきほど有害であるという知見はなかった。「幻覚などの精神作用がある」というのは後から(1970年ごろ)つけた理由で、しかも大麻には「幻覚」などない。抗うつ薬デパスには退薬症状として幻覚妄想がでることがあると説明書に書かれているが、大麻による幻覚はそれよりさらに出現率は低い。いったいどこのだれが「幻覚」などと言い出したのか?

 

  4. 「大麻に含まれる有効成分を化学的に合成して組み合わせればいい」と安倍首相も答弁しているが、合成THCはいわゆる危険ドラッグで、これらの成分を組み合わせればどのようなことになるかまったくわからない。またファルマシアの記事によれば、アゴニスト(作動薬)を使った臨床試験は、マリノール以外、すべて失敗し、治験から撤退している。またCBDなどの成分は単体では利用がしにくいことも明らかになっており、天然型が安全で効果も高いとされているのに、大麻取締法を正当化するために、あえて危険な成分を組み合わせればいいというのは安倍首相の勝手な思い込み、妄想にすぎない。

 

 

 

  最近、世界では重要な証拠がつぎつぎとでてきた。

 

  1.) 2017年1月、米国科学・工学・医学アカデミー THE HEALTH EFFECTS OF CANNABIS AND CANNABINOIDS

 

  2.) 2017年2月、DEA(アメリカ麻薬取締局)は大麻で「大麻精神病」「覚醒剤などにすすむ」「肺がんになる」「知的レベルが低下する」などは事実無根であったと認め、報告書から削除した。かと思ったら、4月には報告書全体をネットから削除した。厚労省(と麻薬覚せい剤乱用防止センター)の有害性の根拠のほとんどは、アメリカのDEAの情報をそのまま使ったものだと思われるが、本家のアメリカでは削除されてしまっているのだ。特に幻覚妄想を大麻精神病のひとつだと考えれば、それはないとDEAが認めたということになる。そもそも海外(G8)では大麻による幻覚が問題視されることはほとんどない。日本では「幻覚」というと誰もが怖がるので使っているにすぎない。国立精神神経センターでは大麻が原因で治療を受けにくる患者は年間1人いるかどうかだと述べている。

 

  3.) WHO(世界保健機関)は2018年11月、麻薬に関する単一条約(1961年)に掲載されたカテゴリーの見直しをすると発表し、準備をすすめている。単一条約では大麻はカテゴリー1と4の両方に含まれ、非常に厳しい扱いを受けてきた。ただ単一条約でも大麻の医療利用は禁止されておらず、世界は自国の憲法を優先して、大麻の人道的医療利用を推進してきた。WHOは単一条約と世界の状況との間に乖離があり、より現実的な再分類の必要性を認めているのである。内容はおそらく1)に近いものになるものと思われる。

 

 

 

  さて我がNPO法人 医療大麻を考える会の今後の活動であるが、以上のような状況を鑑み、これまでのマスコミへのアピール、裁判支援などから一歩進め、医療大麻合法化に向けた政治的色彩の強いものになっていかざるをえないと考えている。
  我々は必ず勝利する。あたりまえでしょう?
  ということで一気に書いたので誤字脱字などあるでしょうが、見直す時間がないので詳細は後日。

 

 

 

  P.S. 私が書いた「共謀罪と大麻取締法」という原稿が、近く、「週刊金曜日」に掲載される予定です。

 

 


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