小林麻央さんと大麻

  小林麻央さんが6月22日、30代の若さで、がんで亡くなった。
  「もう痛み止めが効かなくなってきました」というか細い声が、テレビで最後に聞いた生の声で、何ヶ月か前になる。
  末期がんの治療でよく使われるモルヒネは、ケシの実からとった生アヘンを精製したもので、鎮痛効果は高い。しかし、副作用で眠ったままになることが多い。医師はモルヒネを連続的に投与する前、家族に「話ができるのはこれが最後になるかもしれないので、言っておきたいことがあれば言っておいてください」と助言することもある。
  末期がんで有効な治療法がない場合、患者さんのなかには抗がん剤の投与や放射線治療などをやめ、緩和ケアを選択する者が増えている。
  緩和ケアでは医療の中心が治療を優先する「キュア」から生活を大事にする「ケア」へと向かう。特に疼痛や死への不安の緩和が中心になる。
  麻央さんの場合、5月29日に病院を退院し、在宅緩和医療(在宅ホスピス)に切り替えた。容態が急変したり、疼痛が耐えられないほどになる心配もあっただろうが、亡くなるまでの1ヶ月弱を自宅で過ごすことができた。
  厚労省は「緩和ケアとは、病気に伴う心と体の痛みを和らげること」とし、特に末期ではなくても、がんと診断された時から緩和ケアの推進が必要であるとしている。

 

 

  しかしがん性疼痛や慢性疼痛などの痛みの治療は困難で、日本の医療は患者の要望に答えておらず、非常に遅れた分野であることを認めている。
  最近は病院でのモルヒネの使用も増えたが、末期がんの悪液質という状態や神経因性疼痛、骨転移痛、消化管閉塞の疼痛には、オピオイドが効きにくいとされている。
  鎮痛薬としてはモルヒネなどのオピオイド系以外に、大麻の有効成分カンナビノイドが知られている。カンナビノイドはオピオイドとは作用機序が異なるので、併用により相加相乗効果が期待できる。
  国立がんセンターは70種以上とも言われるカンナビノイドのうち、THCという成分を化学的に合成したマリノールという医薬品を使ったアメリカの臨床試験を調査し報告している。それによればモルヒネとカンナビノイドを併用することにより、双方の鎮痛効果が相加相乗的に強化され、オピオイドの精神依存も発生しなかった。またオピオイドの量を減らす効果もあった。
  大麻には抗不安・精神安定作用・多幸感があることがよく知られているが、これらの精神作用も、鎮痛効果や終末期の患者のQOLをあげるのに役立つ。
  また大麻には巷で言われているような幻覚作用や大麻精神病はなく、意識ははっきりしているので、死の直前まで家族との生活が可能になる。
  大麻の鎮痛効果については作用機序が明らかになりつつあり、今後、がん以外にも多くの病気に利用が期待される。
  アメリカではヘロインなどの過剰摂取により、年間15,000人が死亡している。それは病院でのオピオイド系鎮痛剤の投与が制限されており、痛みに耐えられない患者が、病院外で密売人からモルヒネやヘロインを購入し使用し、呼吸停止などの副作用で死亡するケースが多い。オピオイドとカンナビノイドを併用することで、これらの事故も防げる。
  昨年だったか、アメリカ司法長官も「大麻からヘロインや覚せい剤などのハードドラッグにすすむのではない。処方箋薬からすすむ場合がほとんどだ」と明言している。
  大麻は大麻精神病になる、大麻は覚せい剤にすすむ、大麻は怖いなどというのは厚労省の印象操作(洗脳)にすぎない。しかし患者や医師がそれに気づくのに、それほど時間はかからない。

 

  もし海老蔵が自宅で麻央さんに大麻を投与していたとしたら、それは「愛」以外の何物でもない。
  麻央さんは最後の最後に海老蔵に「すべて愛してる」と呟いたという。日本の伝統芸能歌舞伎役者と麻が真ん中という彼女の愛の生活、病気は不幸だが、2人の幸福になる力は強かった。

 

 


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