グアム大麻合法化 トランプ政権セッションズ司法長官の発言に揺れる

  グアムで住民投票により医療大麻が合法化されたのが2年前。その後、実施のための具体策が模索されていたが、カルボ知事の反対により、今年になっても実施には至っていなかった。

 

  ところがこの1月になって、その知事が「医療大麻の実施を実現するために」医療だけではなく、嗜好用を合法化し税金をかけるという案を自ら提出、住民の意見を聞くための公聴会が開催された。知事の提案には、最近、コロラド州を視察した知事が、医療と嗜好を合法化することで経済効果があがっていることを見てきたことも背景にある。

 

  現地新聞も合法化を支持するなど、2月時点では「医療、嗜好」ともに合法化される見込みだった。

 

  私は4月12日の公聴会に参加し、上院議員らの前で日本の状況、特に日本人患者による医療大麻観光の可能性について再度説明し、さらに前回の公聴会でだされた合法化反対論について意見を延べた。(公聴会で議員の前で証言、前列右から二人目、白っぽいアロハ)

 

  反対派の意見は、嗜好大麻を合法化すればグアムのイメージが悪くなり、観光客が減る恐れがあるというものだった。これには日本側の意見が重要ということで、ハワイの例をあげて、グアムが嗜好用を合法化しても、日本人観光客に影響することはないと説明した。実際、グアムの嗜好大麻使用率は現在でも17%で米本土より多いぐらいだが、大きな社会問題にはなっていない。それはグアムの人たちがマナーがいいからで、日本人観光客はグアムの治安が悪化しない限り、大麻が合法的に医療用に使われようが嗜好用に使われようが気にしないとも述べた。

 

  しかし問題はそんなところにあるのではなく、トランプ政権セッションズ司法長官の最近の発言にある。司法長官は「今後嗜好用大麻を合法化する州に対しては、断固として厳しい措置をとる」ことを明らかにした。グアムは人口15万人の島で、米軍基地もある。ここまではっきり言われたら、ためらうのも無理はない。

 

  また意外なことに、2年前に医療大麻合法化を過半数で支持したグアムの住民は、嗜好大麻の合法化を望んでいないようなのだ。公聴会開催後、新聞社が行った世論調査によれば賛成25%、反対75%という数字がでた。

 

  これにはグアムのカトリック教会の意向が反映されている。グアムは90%が原住チャモロ人で、そのうち80%がキリスト教徒、なかでも保守的なカトリック信者である。カトリックは堕胎はもちろん避妊も禁止していて、グアムでも子供が10人という家族もいる。グアムの住民は政府以上にキリスト教会の考え方に大きく影響されるといえる。これには私だけではなく、グアムの合法化運動家らにとっても予想外だった。

 

  知事は司法長官の発言などを受けて、嗜好大麻の合法化に関する法案を引っ込めてしまった。

 

  医療大麻に関してはすでに法律ができているが、嗜好大麻を合法化して税金をかけるという制度を作らないと、財政的に困難が伴う。

 

  ここまできてグアム政府は、トランプ政権が大麻についてどのような政策をうちだしてくるかを待つという姿勢をとらざるをえなくなった。

 

  アメリカ政府が大麻をスケジュール1から2に移行するのはいつか、現在8州とDCで合法化されている嗜好大麻をほかの州が合法化するのはいつか?グアムの状況はそれにかかっているが、今のところ、いつになるかはわからない。

 

  いずれにしても、グアムが日本人患者の医療大麻観光を歓迎しているのは間違いない。今後も働きかけはしていくが、時間的な予定について、はっきりしたことはいえないというのが実情である。

 

 


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