患者同行・サンフランシスコ医療大麻取材旅行 その11

 

 

(神経障害性疼痛、難病に大麻が効いた!!!)
 
  さて、そろそろこのシリーズも終わりに近づいた。
  そこで読者が最も関心のあること、つまり患者さんに効果があったのかなかったのか?
  答はわずか2週間の滞在で、効果はあった!!!
  今回は3人の患者さんで、1人はADEM(急性散在性脳脊髄炎)のKさん。
  難病の多発性硬化症やギランバレー症候群と似た症状で、死亡率も高い。
  症状は、急性散在性脳脊髄炎(ADEM:acute disseminated encephalomyelitis)Q&Aによると、

 

4.臨床症状:
(1)四肢の脱力(筋力低下、巧緻運動障害、疲労感、歩行障害などとして現れる)運動することで誘発される脱力は特徴的症状である。
(2)痙縮spasticityを下肢に認めることが多く、しばしば有痛性痙攣を伴い、患者の歩行・日常生活の妨げとなる。
(3)視神経炎による視力低下・かすみ目・色覚認識の低下が出現するが一側性である場合が多い。
(4)複視(眼筋の麻痺が原因である)
(5)感覚症状;異常感覚(針で刺したような、ちくちくする、焼けつくような感じ)、感覚低下(感覚鈍麻、しびれ感、焼けつくような感じ)の両方がある。痛みは多発性硬化症ではよくみられる症状である。
(6)小脳性失調、膀胱直腸障害、認知機能障害(記憶障害、注意力欠如、多幸感)

 

  でKさんにはほとんどあてはまる。
  特に歩行が困難で、補助具が必要。少し歩くと足が痛み、引きつり、翌日にも痛みが残る。
  大麻を摂取したうえで歩行訓練をしたが、それほど痛まず、引きつりも減少した。数日で歩行距離が伸びていくのを実感した。万歩計で計測したところ、毎日、新記録がでた。

 

  Tさんは若い頃、ワキガの手術を受けたが、片方の胸の部分に難治性の術後疼痛を患うことになった。その後、約30年間、焼け付くような、チクチクするような痛みを感じ続けた。
  診断名はCRPSで、複合性局所疼痛症候群(ふくごうせいきょくしょとうつうしょうこうぐん、英:Complex regional pain syndrome,略称CRPS)と呼ばれる。交感神経の過剰な活性化に関っていると考えられる疼痛である。神経因性疼痛の代表的疾患であり、体性神経の損傷および骨・筋肉組織損傷、外傷(重症度は関係ない)、内臓疾患、中枢神経系損傷後に発症するとされるが、明らかな先行した損傷がなくとも発症することがある。 また、感覚過敏・アロディニア・代謝異常・浮腫・腫脹・皮膚温異常・局所的骨粗鬆症など様々な症状が観察されることが多い。この病気は、難病指定はされていない。
  Tさんもときどきは軽くなっても、完全に痛みがなくなることはなかった。痛みを忘れようと酒びたりになったこともあるが、酒にはまったく効果がなく、強い鎮痛剤や神経ブロックも効果がなく、医師からは我慢してくださいと言い渡され、診断書には「治療法なし」と書かれている。
  Tさんも2日ほどで劇的な症状改善がみられた。
  「あ、痛くない」、Tさんは胸をさすりながら言った。「ここまで痛みがとれたことは今までありません。」
  KさんもTさんも、数日で効果を自覚することができた。どちらも「神経障害性疼痛」に属する痛みで、私がこの2人を選んだのは、短期間でも、多分、効果があるだろうと思ったからだ。
  私は医療大麻を考える会を20年近く主催しており、なかには多発性硬化症や神経因性疼痛の患者がいて、実際に海外で大麻を摂取して短期間で軽快するのを、何人か実際にみたことがあった。私は医師ではないが、大麻に長くかかわっていると、勘のようなものがでてくる。
  ほかの治療法がまったく効果がないというこの2人に大麻がなぜ、どのようにして、数日という非常に短期間に鎮痛効果を発揮したのか?もし私が医師かあるいは医療研究者なら、非常に興味をそそられる事実だ。新しい医薬品の開発にもつながる可能性が高い。
  ただ疼痛でも内臓などからくる疼痛には、それほど短期間の効果は期待できないと思われる。
  しかし日本には交通事故後の脊髄損傷による疼痛や、神経そのものの異常による疾患で悩む患者が多く、数千万人が何らかの痛みをもっているという調査もある。
  しかしモルヒネをはじめ、鎮痛剤は製薬会社の儲けガシラだからなのか、カンナビノイド(大麻の有効薬理成分)による治療法は研究すら厳しく禁止されている。
  日本ペインクリニック学会でも、「疼痛治療には限界がある」と言うだけで、カンナビノイドが話題としてとりあげられたことすら、ほとんどない。
  私のようなシロウトが少額の予算でここまで症例研究することができた。医学的知識をもつ者が、臨床的に適切なプロセスをへて、医学的に価値のある研究を行うことを期待したい。数千万の痛みに苦しむ国民がそれを待っている。
  なお2人とも、帰国して数日後には、また以前と同様の痛みを感じるようになったという。
  また乳がんの患者さんには、腫瘍マーカーでみた限りではほとんど効果がなかった。

 


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