患者同行・サンフランシスコ医療大麻取材旅行 その10

 

 

(大麻の養老施設)

 

  大麻に高齢者の認知症や精神安定作用があることは、これまで言われてきた。
  例えばアルツハイマーは、脳神経にアミロイドβが付着することが原因のひとつで、大麻がそれを削ぎ落とす役割を果たすことが、医学的に確認されている。つまり治療や予防に役立つというのだ。
  それが事実なら今後ますます高齢社会化する日本にとって、大麻の利用の可能性が大幅に増える。
  サンフランシスコ金門橋を超えて、北に80kmほど行ったところに、その施設 Primrose (nursery home 養老施設?)はあった。アメリカでも初めてだという施設には、広々とした敷地に介護やホスピスの施設があり、医師や看護師が常駐している。
  驚いたことに、施設では大麻を日常的に摂取させている。といっても高齢者が多いので、チョコレートやクッキーなどの食品にしたものが中心で、種類も非常に多く、冷蔵庫のなかは、滞在者(resident)の個人名が記された食品がぎっしり詰まっていた。食品にはそれぞれの老人に最も適した成分が含まれている。
  チョコレートは割っていくつかに分けたものを一切れ口にもっていくと、老人は喜んで食べる。ほとんどの老人はゆっくり歩けるが、何を話しているのかはわかりにくいという程度の障害で、椅子から立ったり座ったりをずっと繰り返すだけの女性もいた。
  医師は医療大麻の専門医で、障害の状態によって、大麻成分のうちTHCが多いものやCBDが中心のものなど、非常に細かく処方されていた。
  効果としては、奇声を発したり、激しい行動がなくなったり、言語障害が改善されてコミュニケーションがとれるようになった、というものが多い。全体的には暖かく平和的な老人施設という雰囲気が漂っている。
  老人の家族もそこでは大麻が処方されていることを知っており、それに反対する者はいないという。
  終末医療の部屋では、モルヒネや大麻以外に、悪名高いベンゾジアゼピンなども疼痛緩和治療に併用されている。
  人間は生きている間、つらいことや悲しいことが多い。せめて老人となったときには、こんな施設でケアしてもらう資格がある。介護人の物柔らかな対応に、私は涙が出そうになった。
  連邦法では医療大麻をいまだに禁止しているが、このような施設が多くの州に波及していくまでそれほど時間はかからないだろう。
  あ~、美しき我が日本はどうなんだ。老人であろうと末期がんであろうと、山里に平和に暮らす子供連れ夫婦であろうと、み~んな逮捕して、「大麻だ、大麻だ」とマスコミが弱い者いじめで袋だたきにする。何という立派な国だ。頭がおかしいんじゃないのか?

 

 


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