患者同行・サンフランシスコ医療大麻取材旅行 その7

 (THCとCBD)

 

  大麻にはTHCやCBDなどのほか80種類以上の薬理成分が含まれ、それらが相互作用をして医薬効果を高めるという考え方が、アメリカでは常識になっている。
  THCがCBDの抗腫瘍作用を強め、CBDがTHCの精神活性作用を抑制しつつ、同時にその精神作用を補強するなどといったように。
  だからTHC成分含有率の低い高CBD商品でも、最低5%ぐらいのTHCが含まれている。逆にTHC成分が多く、一般的に嗜好用(ハイと呼ばれる多幸感、不安やストレス解消を得るのが目的)と言われるものにもCBDが含有されている。そのため、吸いすぎた場合、CBDが催眠作用を発揮し、眠くさせ、それ以上摂取できなくさせるというような働きをする。
  化学合成THCは日本では危険ドラッグと呼ばれるが、CBDなどほかの成分が含まれていないため、摂取量の増加とともに精神活性作用が右肩あがりに上昇する。そのため抑制が効かなくなり、事故や事件につながる。
  相模原事件では大麻成分が検出されたとされているが、大麻なのか化学合成THCなのかはいまだにはっきりしていない。大麻と化学合成THCは、同じアルコールでも日本酒と消毒用アルコールぐらいの違いがある。
  テレビでは相模原事件は大麻が原因というコメンテーターが増えているが、大麻だったのか危険ドラッグだったのかの違いは確認できているのだろうか。大麻に責任をなすりつけておけばいい、誰も文句を言わないだろうというような無責任なコメントばかりのようにしか思えないが。
  さてその逆にCBDだけでTHCが含まれないいわゆる茎CBDが、日本でも輸入業者により販売されている。精神活性成分THCが含まれないから安全というような宣伝がなされているが、THCがゼロのCBD製品は、THCが含まれるものと比較して効果が極めて低い。それでも一部の小児てんかんや疼痛には効果があるようだ。
  アメリカでも数年前までは、「産業大麻の茎からとったCBDなので子供でも安心」というような触れ込みでCBD製品が流通したが、最近はTHCとCBDなどが含まれているほうが効果が高いということがわかっており、今回のサンフランシスコ取材でも茎からとったCBD製品というのは一度も見たことがない。次回に書く予定だが、日本では有名なブルーバード社のCBD製品は、100近い大麻製剤製造会社が出店する展示会やディスペンサリーでも見なかった。HEMP MEDSという会社がブースを出していたが、訪れる人はほとんどいなかった。アメリカではCBD製品と呼ばれるものでも、THCがある程度入っているのが普通なのである。
  日本に輸入されているCBD製品の原産国だが、アメリカ製とかイギリス製とされているものでも、実際はほとんどが中国製である。中国で1グラム10ドル程度(1グラムに200ミリグラムの純CBD成分)のものが、日本では商品化され1万円から2万円で販売されていることもある。
  日本は大麻の茎と種及びその製品は合法なため、茎からとったCBDは合法ではあるが、アメリカではCBDが多く含まれる品種が開発され、それを栽培して、穂(バッツ)の部分からCBDを抽出したものがほとんどというか、それ以外、見たことがない。アメリカでは医療大麻が合法なので、わざわざ茎からとる必要がなく、穂からとった方がコストも安い。ということで、日本のCBDは、原料と製品がどこで加工されたものかわからないというのが実情である。アメリカで売れなくなったものを、大麻取締法のある日本に売りつけようとしているといううがった見方もある。
  日本のCBD業者は、宣伝で精神活性作用をもつTHCを悪者にすることが多いが、実際はCBDはTHCやテレピン、フラボノイドなど、ほかの成分とともに働くことで効果が高くなるというのは、医療大麻先進国アメリカでは常識になっていることを、再度、強調しておきたい。
  医療大麻合法化の必要性を訴えていた高樹沙耶が、テレビでCBDクリームに言及していたことがあるが、本物の医療大麻は、大麻の合法化なしにはありえない。

 

 


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