山本医療大麻裁判を傍聴した中学生のレポート

  山本医療大麻裁判を傍聴した中学生のレポート
  「学校で裁判を傍聴する課題が出され、午前中から幾つかの裁判を傍聴」していた中学生が、たまたま傍聴した山本裁判のレポートを、麻の情報に特化した総合ポータルサイト「麻なび」より引用します。

 


 

心に残る裁判 大麻取締法違反

 

平成27年特(わ)第2723号
大麻取締法違反 審理
刑事第13部C
被告人 山本正光
819号法廷 裁判長 吉戒純一(元野球選手 清原和博が覚せい剤取締法違反で
起訴された時の裁判を担当された)

 

 

 

第4回公判 証人尋問

 

傍聴を希望する人が列になり私まで(19人目)入れたが母は外で待機していた。裁判の内容はただの大麻取締法違反と違うことは傍聴していてすぐに理解できた。被告人の山本さんは、2014年10月に余命を宣告された末期の肝臓がん患者で、諸外国のがん治療の内容を調べた結果“大麻”が有効であると考え、違法であることを承知の上で自宅で大麻を栽培し、使用していた。この時の効果についてだが腫瘍マーカーの数値が1/20に下がり痛みや不安をやわらげるのみならず治療としても有効だという。しかし、大麻所持で逮捕されたということである。私は大麻や覚せい剤は法律で禁止されているのだから至極当然と思っていた。しかし、この裁判は生きるために法律を犯した場合、どの様に裁かれるのかという究極のものであった。証人は元国立がんセンターの医師が医療大麻について医師としてアメリカやイギリスでの研究結果論文を柱にして有用性を話した。

 

依存性について、例えばコーヒーが20%としたら、大麻は14%だという数字に驚いた。

 

また、実際がん患者にいたみ止めや抗がん剤として使われているものより副作用がなく、致死量が存在しないこと。WHOが、同じ様に認めていて、G8の中で医療用としても使われていないのは日本だけということも初めて知った。

 

休廷になった時に母が、祖父の闘病生活を思い出したようで「おじいちゃんがモルヒネを投与すると副作用があったの。もし、副作用もなく脳もおかしくならず、痛みが消えるなら、使ってあげたかった。」と、話したのを聞いて心が動いた。この日は弁護団からの主尋問、そして検察官からの反対尋問と続いた。被告人の山本さんは車いすで、法廷にずっとすわって裁判の様子を伺っていた。(体調は大丈夫なのかな)と心配になっていった。

 

体調を考慮して結審を早めたいと弁護団が次回公判の次の日程を調整していた。

 

 

 

裁判記録(NPO法人 医療大麻を考える会報告)から

 

証人 福田一典 医師 銀座東京クリニック院長
元 国立がんセンター研究部長(肝臓がん専門)

 

Lancet, New England Journal Of Medicineなど世界で、一、二位の専門誌を引用して大麻の安全性となぜ、世界中の医者が治療に医療大麻を使うか、明確な根拠で説明していた。

 

裁判官も検察官も医療や研究のプロではないのでそのプロが述べた根拠は否定できない。

 

福田医師は「私が言っているのではありません。アメリカの医学界の裏付けに基づいて言っているのであって世界では常識なのです。臨床研究は必要だが患者さんができるだけ早く、今、すぐにでも使えるようにしないと意味がないのです。」とのべた。また、「リスボン宣言という患者の権利を定めた国際規約があり日本医師会も認めているがそれによると患者は最新で最善の治療を受け苦痛を緩和される権利がある。これは基本的人権という以前の当然のことで医療という観点からすれば、大麻取締法4条の問題ではなく、医師も患者も選択肢のひとつとして使用できるべきものです。」

 

多くの患者さんの苦痛を眼の前で見ているお医者さんが、切実な思いを語っている様子が印象的だった。

 

尋問中検察官が「THC・・・えっと・・・」など専門用語に苦戦し裁判官が「かわりに質問します」と、続けるシーンもあり、難しい裁判だと感じた。

 

大麻は“覚醒剤やコカインと同じ”だと、考えていた私は、意外なデータや認識におどろき嗜好品としての大麻ではなく医療用大麻という点のみだが受け入れてみて、自分でもこの裁判の行方を追う気持ちになった。

 

 

 

第5回公判 被告人の最終弁論

 

裁判所の入り口では支援する人たちが、裁判所に入る被告人の山本さんを激励していた。

今回の法廷は傍聴人52人で、前回より広く、司法修習生と思われる人たちが検察官、弁護士席の後ろに計6人いた。テレビ朝日の報道ステーションをはじめ、報道関係者が7名傍聴していた。

 

前回証人として法廷に立たれた福田医師もみえていた。少しの間、話を伺っていたのだが、裁判記録を確認したところ、証言した言葉と違う内容で残っていたらしい。“1991年”が“1997年”になっていたり“買う”が“株”になっていたりしたようだ。裁判所内ではいくつかの録音機が置いてあったので、後から聞いて記録を作る手順かと思われるが、“買う”は文脈から考えても“株”にはならないはずだと私は思う。

 

被告人の山本さんは車いすで法廷にあらわれた。体調はとても悪そうに見えるが気力でそこにいるようだった。

 

○ 弁論内容
病状の再確認 2013年6月 肝細胞がんと診断 (20歳の時、事故で輸血をした際 肝炎に感染、その後、肝硬変→肝細胞がんになった)

 

この時 抗がん剤(ネクサバール)使用、副作用として腕の皮脂がはがれひどい状態になった。
2014年10月 余命宣告 この時の気持ち、期待なくなり世界観かわる、焦燥感、絶望感
代替治療 緩和の為、調べているうちにアメリカでの大麻(医療)をみつける。
→ 痛みの緩和、食欲が出る。眠れる。
→ 日本で合法的に使う方法を模索し、法務省、厚生労働省、農林水産省に問い合わせた。結果は「合法的に使うことは無理」厚生労働省にはがん専門のプロジェクトチームがあるが、そこでも無理。

 

→ 生きる為に大麻を自宅で栽培する。

 

2015年2月~3ヶ月で成長して使える。
方法 (1)煎じてお茶のように飲む。(2)煙草のように吸う。効果として5分ほどで痛みが緩和され、食事をすることができ、よく眠れるようになった。客観的に、ものがみられる様になった。医療データとしては、腫瘍マーカー(アルブミン)が下がった。

 

 

2016年1月 大麻所持で逮捕

 

 

 

裁判記録(NPO法人 医療大麻を考える会報告)から

 

弁護側が提出した多くの証拠が裁判官によって同意された。

 

○ 裁判官は、弁護人、検察官それぞれの証拠を採用したり却下したりしていた。その前に弁護人が出した証拠に対して検察官が「同意する」としていたものは全て採用となる様だった。
○ WHOが大麻の医療効果を認めていること
○ 国連の組織(国際麻薬統制委員会)が大麻の医学的研究を歓迎していること
○ 国際条約は大麻の医療利用を禁止していないこと
○ 大麻にはがんなどに医療効果があるという医学的根拠が多数認められたこと

 

判決を下すにあたっての判断材料となる証拠が採用されるかは無罪になるための重要なポイントな様だった。

 

これまでの裁判で医療大麻禁止の理由として判断材料とされていたものは
・WHOは医療効果を認めていない
・国際条約が禁止している
・厚生労働省が大麻に医療効果があることを完全に否定している

 

裁判官が必要ないと判断した証拠は却下されるケースもあり、その部分を心配していたが同意されこれは裁判官が医療大麻の効果や世界の基準をしっかり見定めて判断したいと考えていると弁護団からの報告もありこれは、今、病気と闘っている山本さんの、力強い言葉から導かれてきたと思った。

 

これまでに使った膨大な治療費、抗がん剤の副作用の辛さ、ある薬では手の皮がベロベロむけることや、現在服用している薬で呼吸困難になったことも語られ、大麻を使用していた時の効果もうったえていた。法律で禁止されていることを覆すことは新しい見識や世界基準を合わせてみてもなかなか難しいことのようである。

 

 

 

被告人死亡で公訴棄却

 

次回公判8月2日を前に7月26日午後、裁判で支援していた方からメールが届き山本さんがご逝去されたことを知った。

 

裁判は、被告人死亡によって公訴棄却となった。「亡くなったら裁判は終わってしまうのか。今までの裁判はどうなるのか。」と肩の力がぬけた。

 

 

 

報道された内容と私の意見

 

○ 裁判の時、報道関係の方が傍聴していたので、どのような報道があったのか調べてみた。

 

7月21日 テレビ朝日 「報道ステーション」

 

医療大麻を求める患者の声と、反対論を報告していた。反対論として出されたものは大阪大学の研究で「大麻の成分、脳の神経回路を破壊」というもので、脳内の神経回路に悪影響であるとアメリカの科学誌に発表したことであった。これは毎日新聞にも載っていた。この論文に対して、福田医師は反論しているが、報道ステーションでは有害である証拠としての論文を使った。この研究に対して福田医師は「生体は促進系と抑制系のバランスで調整されている」と反論して、インターネット上にも公開している。

 

7月6日 朝日新聞出版 「dot.」

 

米国マイクロソフトが合法大麻の流通ビジネスに参入を決めた。これにともなって日本でも医療大麻をめぐって、裁判が行われるというもの。

 

6月30日 英字新聞 「ジャパンタイムズ」

 

6月27日の公判終了後 廊下に出ると、この新聞記事を持った記者ができあがったばかりの新聞をみせていた。

 

 

5月30日 読売テレビ系列番組 「そこまで言って委員会NP」

 

ここでは医療大麻について大激論。結果は医療用という条件つきで全員が賛成というもの。

 

5月24日 GAG2NEWS

 

早稲田大学教授 池田清彦氏が、大麻取締法についての意見を載せている。

 

5月2日 YAHOO!ニュース
4月25日 産経ニュースWEB

 

医療大麻をめぐる裁判がおこなわれているというもの。

 

傍聴した時、裁判は第4回公判で、途中であった為、前の裁判記録(NPO法人 医療大麻を考える会や弁護士ドットコムより)をみて、さらに報道されている内容を検証してみた。

 

報道されている時には、反対論も含まれていて、様々な角度から私もこの裁判について考えているなか、母の従弟が製薬会社の研究員なので、意見をきいてみたところ、医療用大麻の終末医療へのハードルを下げることには賛成だが、効果のある投薬量は欧米人とアジア人では異なる可能性と、腫瘍マーカー低下は大麻の効果と論じるのはどうかということ、また救われる人と乱用する人のデータを慎重に判断する必要があるのではないかと答えがかえってきた。

 

私は、この問題については医療のことを正しく、はやく理解する必要があると思う。賛成論、反対論はいずれも医学の専門家が唱えているものだが、判断する司法の側は、医学についての専門家ではなく、裁判中も検察側の質問の意味がよくわからないことがあった。時間がかかるのも、今すぐそれを使いたい患者さんや医師にとっては問題である。公判中に、福田医師が、検察官からの質問で「論文を引用しているが、あなたが実験したのではない。」と、言われたときに「日本では研究も許されていないので、できないんだ。」と答えていたので研究環境も必要だと感じた。

 

判決を待たずに公訴棄却となった現実が、とても残念でならない。

 

この裁判は、憲法で定められた「生きる権利」が大麻取締法と比較してどれくらいの重さを持つか問うものである。憲法は日本の最高法規であり、国が国民の人権を侵害しないように権力者を縛るルールである。憲法が生きる権利を保障しているのであれば、その権利の方が、強いのではないかと思う。しかし、この裁判中に出された証拠がどのように採用され認められるのかは、重要な部分である為、裁判官がどの様にみていたのか知りたかった。中学生の私は何が正しいのか判断することが難しいので、判決を見届けたかったと強く感じている。

 

 

 

(===== 引用 ここまで)

 

 

 

  レポートは一字一句、そのままの文章で記載されている。
  中学生がこんな文章を書いたのは驚きというしかない。
  今
回の裁判の最もよき理解者の1人といってもいい。将来はジャーナリストか裁判官になってもらいたい。
  
山本さんが残したものは大きい!  (前田)

 

 


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