(ガターサイエンス)
ガターサイエンスとはインチキ科学のことである。アメリカでは1970年代、サルに大麻を吸わせたら脳細胞が破壊されたという実験が行われ、大麻の危険性を証明するものとして政府によって利用された。しかし実際は猿ぐつわをかませたサルに、小さな穴から大量の大麻の煙を送り込み吸わせたもので、後に脳細胞の破壊は一酸化炭素中毒によるものだったことが明らかになった。
このような実験を英語でガターサイエンスと呼び、インチキ科学と訳される。
日本にもこのようなインチキ科学が存在する。
(「大麻を投与されたネズミがムリサイドと呼ばれる共食いをする」という科学実験)
大麻所持などで逮捕されると裁判にかけられ、有罪になり前科がつく。
裁判は「大麻は有害で危険だから禁止しており、それに違反したから有罪。医療目的だったというのは口実にすぎない。大麻には医療効果などないからだ」というのがこれまでの裁判の筋道だった。山本医療大麻裁判ではこれに大きな穴を開ける寸前までいった。
弁護士は当然、「大麻は有害性がタバコやアルコールより小さく、害があっても他人に及ぼすものではなく自傷行為と同じ」などと反論してきた。しかしこれまでそのような理論で無罪になった者はいない。検察側の有害の証拠と、それを認めた1985年の最高裁の判例があるからである。
すでに述べたように月刊「化学」(2009年5月号)には「大麻はなぜ怖いか?」という山本郁男氏(当時、九州保健福祉大学薬学部教授、副学長)の論文が掲載されている。これには福田医師が、「こんなもの、論文と呼べるか」と一蹴した。
大麻反対論については、山本郁男氏以外にも何人かいる。藤原道弘氏もその一人。
藤原氏のネズミを使った実験は、山本郁男氏の著書「大麻の文化と科学」(廣川書店刊)でも紹介されている。
簡単に言うと、「大麻を投与したネズミがほかのネズミを噛み殺して食べた。大麻によって引き起こされたムリサイドという共食い現象だ」ということだ。しかしこの実験は、添付写真を見てもわかるように、ラットとマウスという別種のネズミを使用したものである。しかも山本郁男氏の論文でもそうだが、人間の数十倍の量を投与している。ラットはマウスの10倍ぐらい大きく、餌を与えられなかったラットがマウスを殺して食べたとしても、ただの捕食行動で、トラ(猫科)が猫を殺して食べるのと同じである。
しかしこの動画をテレビで見せられた視聴者は、「大麻は恐ろしい」という印象を強くもった。
また大麻を投与したラットの鼻先を棒のようなものでつつくと、ラットはそれに噛み付いた。これは藤原教授によると「攻撃性の証明」になる。またつつかれて後ずさりすると、「退歩行動」となる。ラットがいやになって横を向けば、「無関心、無動機症候群」の証明になる。どちらを向いても「有害で恐ろしい」ことの証明にされてしまうのだ。
これらの実験とその評価は、大麻を禁止している厚労省の政策に寄り添うものである。
しかしこんなものを、裁判で、日本の科学的実験により証明された有害性の証拠として採用されてきたことに対して、多くの逮捕者は悔しい思いを抱いている。そもそも人間とネズミは違うし、アメリカやインドで大麻を吸って人間を食べたり、後退りで歩いている人を見たことはない。
しかし逮捕されたら、裁判でこんな「証拠」であっても反論を加えなければならず、ほとんどの場合、反論は採用されない。多くの被告人が悔しい思いをしたことだろう。私もこれらのインチキ科学には、ほとほと疲れた。
(株式会社カンナビ健康科学研究所)
ところでこの藤原教授だが、平成19年から25年まで、福岡大学副学長や常務理事を勤めている。
さらに平成19年には会社を設立し、代表者になった。
その会社の名前には愕然とする。「株式会社カンナビ健康科学研究所」というのだから目を疑う。あれだけ大麻は恐ろしい、危険だと言って、多くの人達を刑務所に送る厚労省の手伝いをしてきた人物が、今度はカンナビ健康科学研究所とは恐れいった。カンナビとは大麻のことで、藤原氏も会社の研究テーマとして「大麻の有害作用および医療への応用に関する研究」をあげている。
平成19年(2007年)はすでに大麻の医療効果が否定しようのない事実として世界的に認められ始めた頃だ。藤原氏がそれまでの勉強不足を恥じたとしても、それなら、まず彼がこれまで無実の人たちを刑務所に送りこむお手伝いをしてきたことを真摯に反省すべきである。
そして「大麻には医療効果はある」ことを裁判で証言すべきである。「大麻は危険なばかりで医療効果はないとか、大麻を吸うと大麻精神病になるなどというのはウソ。私はずっと以前から大麻の有害性はこれまで言われてきたほどではないこと、医療効果があることを知っていました。しかし立場上、言えなかった」と涙ながらに証言してはじめて、研究テーマとして「大麻の有害作用と医療への応用に関する研究」をあげることが許される。多くの患者がこの藤原教授や山本郁男氏のような学者(?)の説により、刑務所のなかで耐え難い苦痛を強いられてきたのだから。
よくもいけしゃあしゃあと「株式会社カンナビ健康科学研究所」代表と名乗れるものだ。精神構造を疑う。
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