これでもニュース番組と言えるか? TBS ニュースバード 「相模原事件報道」

 

(相模原事件とメディア報道)

 

  7月27日に起きた相模原の大量殺人事件では、ほとんどのメディア報道が「警察への取材で大麻成分0.05グラムが発見された。措置入院にあたって大麻精神病などの診断を受けたが、2週間後に退院し、その後、事件が発生した」と報道し、今回の事件が「大麻精神病で凶暴化」したという印象を、多くの視聴者に与えた。警察発表ということで、報道の内容はどこも同じようなものだった。
  確かに事件発生当時は情報が少なく、警察発表や犯人の元同僚などの話も、ある程度はしかたがない。しかし事件の経過とともに、真相究明が行われ、真の問題がどこにあるかを検証する必要はないのか?
  CSにTBSニュースバードという番組があるが、当初はほかのメディアと同じような報道をしていた。

 

 

 

(TBS報道内容に放送法違反の疑い)

 

  その2週間後の8月9日、TBSは警察に取材した結果、「あらたに大麻が発見された」と報道したが、内容は当初の警察発表とかわっていない。

 

 

 

(8月9日放送内容)

 

  「神奈川県相模原市の障害者施設で、46人が殺傷された事件で、殺人などの疑いで取り調べを受けている元職員の男の尿から大麻の成分が検出されていたことがあらたにわかりました。相模原市の「津久井やまゆり園」の元職員植松聖容疑者は、殺人などの疑いで取り調べを受けています。捜査関係者へのその後の取材で、植松容疑者の尿から大麻の成分が検出されていたことがあらたにわかりました。植松容疑者は今年2月、相模原市によって措置入院となった際にも、尿から大麻の成分が出て、「大麻精神病」と診断されています。
  これまでの警察の捜査で、植松容疑者の自宅から、使用済みとみられる袋に入った微量の大麻もみつかっていて、警察は大麻を使ったことが犯行に及ぼした影響などを慎重に調べています。」
  「捜査関係者へのその後の取材で、あらたにわかりました」となっているので、2月以後にも、大麻成分が発見されたことになる。しかしこの点についてはあれだけ騒いだマスコミも特に報道しておらず、また7月の逮捕では大麻は発見されていないという報道もあり、TBSの誤報の恐れがある。
  そもそも「大麻精神病」は医学的には仮称であり、症状や診断は確定していない。確かに大麻を吸えば多幸感がともない精神的な作用はあるが、それを精神病と呼ぶことはできない。アルコールで酩酊している人を、精神病者とは呼ばないのと同じだ。

 

  大麻を使用して精神病になり凶暴化するのなら、「医療大麻合法化」などとんでもないということになる。しかし海外の合法国をみても、医療目的、嗜好目的を問わず、大麻精神病になったり凶暴化することはないというのが、常識になっているのである。
  問題は大麻ではなく、「社会の役にたたない障害者は殺してもいい」という「思想」が関連していることが明らかになっている。この問題はすぐには答はでない。じっくりと考え、対応しなければならない。大麻精神病をもってくることで解決できるような問題ではない。
  番組は、「警察は大麻を使ったことが犯行に及ぼした影響などを慎重に調べています」としているが、事件と精神病の関連性の調査は警察ではなく、病院と医師と検事の仕事である。
  もし犯人がゲイだとして、「ゲイによる異常殺人」というような報道の仕方は、人権意識の低い日本でも、もはやありえない。ゲイによる犯罪事件は通常者より多くはないこと、また個人の性的嗜好の問題であり他人に迷惑をかけるものでもないこと、個人の自由を否定することは人権問題であることを、国民が常識としてわかってきたからである。
  ところが大麻に関しては、悪くさえ書けば、どんなに間違っていようとどこからも文句がでないというのが、日本の現状だ。しかし、もうそれは許されないことをメディア関係者は気づくべき時である。

 

  この時期にTBSがこのような内容をニュースとして流すのは、最近の医療大麻裁判など医療大麻合法化の動きに当惑した厚労省が、「大麻=悪、悪の原因」という大麻撲滅宣伝を繰り返し、さらに「大麻精神病」というこれまであまり聞いたことのない精神病をもちだすことで大麻の有害性と危険性を誇張し、さらに「だから医療大麻合法化は日本では尚早である」とミスリードしようとしたものだと考えられる。

 

  TBSは「大麻精神病」とはどのような精神病で、症状、診断基準、そして大麻が凶暴性につながるのかどうかを、慎重に調べ、視聴者に正しく伝える必要がある。誤報は訂正しなければならない。 
  相模原事件については別途書くことにして、今回のTBSの報道には、放送法違反の疑いがあることを指摘しておきたい。

 


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