見なくちゃダメ!絶対!! アメリカの傑作大麻映画

  アメリカでは次の2本の大麻映画が異彩を放っている。(2016年8月19日 追記)

 

1) REEFER MADNESS (リーファー・マッドネス 「麻薬中毒者の狂気」) 1936年

 

 

 

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2) HEMP FOR VICTORY (ヘンプ・フォー・ヴィクトリー 「対日戦争勝利のために大麻を栽培せよ!」) 1942年

 

 

 

 

  この2本の映画は、第2次世界大戦前に、アメリカ政府が制作した大麻に関する映画である。
  インドで3,000年間にわたり、医療、嗜好、宗教などに使用されていた大麻(マリファナ)が、19世紀、イギリス人医師オショーネシにより西洋に紹介されると、イギリスやアメリカでは、大麻の医薬品としての利用が急速にひろがった。
  イギリスではエリザベス女王が生理痛の緩和に利用したことはよく知られている。アメリカでは鎮痛、睡眠、食欲改善などのための安全で効果の高い医薬品として、約100年間、医師により、ほかの医薬品かそれ以上に多く処方されていた(「大麻草と文明」 築地書館 ジャック・ヘラー著 原名:EMPEROR WEARS NO CLOTHES、 JACK HERER)。
  しかし、アメリカでは、突然、大麻追放の嵐が吹き始めた。アンスリンガー(連邦麻薬取締局長、禁酒法時代の取締官)がその張本人である。

 

  映画「リー ファー・マッドネス」の内容は、白人女性が大麻を吸って黒人と性的関係をもったり、大麻を吸って凶暴な事件を起こしたり、精神異常になってビルの窓から飛び 降りるなど荒唐無稽なものだ。アメリカでは1960年代まで、黒人は白人が乗るバスの出入り口は別、トイレも白人用と黒人用は別というように黒人・ヒスパ ニック差別がまかり通っていた時代である。大麻はその黒人やヒスパニックが愛好するとんでもない薬物として、人種差別を利用した弾圧が続けられた。

  [画像] 「大麻を吸うとひき逃げする?」 「大麻を吸うとオトコは暴力的になる?」

  [画像] 「大麻を吸うとオンナは淫乱になる?」 「大麻を吸うと精神病になる?」

 

   [画像] 「大麻を吸うと絶望的になって自殺する?」

 

  当然医師は規制に反対したが、アンスリンガーにより強圧的に禁止政策がすすめられた。このリーファ・マッドネスという映画は、アメリカ政府の宣伝映画だが、歪曲、誇張が多く、今やアメリカでは大麻弾圧の古典的迷作として、嘲笑とともに鑑賞されている。あまりにもばかばかしすぎて、2000年代になって、演劇やリニューアル映画としてリバイバルしたほどである。
  あまりにもばかばかしすぎて、大麻の有害性を指摘する医療関係者からも、「誤解を招き、逆に無害論の主張が正しいと思わせる」という批判がでているほどだ。
  今、日本でこの映画をみた人は相模原事件のことを連想するだろう。というのは日本政府の大麻弾圧とその理論は、この映画とほとんど変わらないからである。この映画にでてくる陳腐で実際には起こりえないシーンは、厚労省外郭団体「麻薬覚醒剤乱用防止センター」に書かれている「大麻は精神病をもたらし、暴力的にさせる」という説明と重なる。それはマスコミの大麻報道とも一致する。
  大麻に関する知識がまったくない人がこの映画をみれば、今でも、かなりの割合で「大麻は怖い」という印象を受けるだろう。
  事実を知っている人達は、笑いをこらえるのが大変だろう。
  80年たった今でも、アメリカの亡霊が日本で生きながらえている。

 

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  「ヘンプ・フォー・ヴィクトリー」は直訳すると「勝利のための大麻」となるが、この「勝利」は対日本戦勝利のことである。
  1936年の「リー ファー・マッドネス」は「大麻を吸うと大麻精神病になって人を殺したり、淫乱になったり、凶暴になったり、ビルから飛び降りて自殺する」という荒唐無稽の内容だった。
  そのわずか6年後に制作されたヘンプ・フォー・ヴィクトリーでは、大麻の扱いがまったく異なる。 内容は下記のようなものである。

 

◯ 大麻は大昔から、中国を始め、世界各地で栽培され、利用されてきた。
◯ 1850年まですべての船の帆、布、船をつなぎとめる錨綱、ロープなどは大麻製で、大麻は航海や海軍にとって不可欠のものだった。
◯ 西部開拓時代の幌馬車の幌も大麻布だった。
◯ ケンタッキー州とミズリー州では大麻は重要な農産物だったが、ジュートやマニラ麻にとってかわられた。大麻の輸入が増え、アメリカにおける大麻栽培は縮小した。
◯ しかしフィリピンやインド周辺航路が日本軍により封鎖され、ロープが入手できなくなった。
◯ そこでアメリカ政府は急遽、農民に大麻の栽培を奨励することにした。この映画は大麻はこれだけ役にたち、戦争という国家的運命にもかかわるほど重要なものであるということを農民に教育し、栽培を奨励するのが目的である。
◯ ただ、大麻の取り扱いは注意が必要で、栽培免許が必要。
◯ 大麻は肥料がなくても育ち、連作を厭わない強い植物である。 
◯ ケンタッキー州の農民は歴史的に大麻を栽培し、技術はある。ケンタッキー州に大麻栽培が戻ってきた。

 

  映画は戦艦と大麻の布とロープが写り、「勝利のために大麻を栽培しよう」というスローガンで終わっている。
  しかしアメリカで大麻栽培が衰退したのは海外からのロープが輸入されるようになったからではなく、1936年のリー ファー・マッドネスでもわかるように、アメリカ政府の禁止政策があったからだ。農民は農業としてなりたたないほどの税金をかけられ、アメリカにおける大麻栽培は急速に衰退していった。
  しかし、こんな映画を制作してまで栽培を奨励しなければならないほど、大麻は重要なものだったのだろうか?それはひっぱるものはすべてロープであることを考えればわかる。戦艦や軍用車両もひっぱるときはロープを使う。ロープは非常に重要な軍需物資なのである。
  アメリカは国内での大麻生産を禁止し、フィリピンやインドなどからジュート麻を輸入していたが、日本軍がアジア地域を支配したため、軍需物資としてのロープの調達に困った。そこで再度農民に大麻栽培を奨励することになったのである。
  当然この映画には「大麻を吸うと大麻精神病になって人を殺す」とか「白人女が黒人と淫らな行為を行うようになる」などとは一言も言っていない。
  ところが戦争が終わると、アメリカ社会はまたしても「狂気の大麻」時代に戻る。1970年、「規制物質法」が制定され、大麻は最も危険で恐ろしい薬物に指定されてしまった。その後30年近く、毎年、100万人近いアメリカ人が大麻関連で逮捕された。
  わずか6年で「大麻精神病になる恐ろしい薬物大麻」から「対日戦勝利のために大麻を栽培せよ」へと評価が180度変わり、さらにその後またしても厳しい弾圧政策に変わったのである。
  日本においても、戦前は「国産大麻愛用(中国産ではなく)」どころか、天皇の即位の儀式においても欠かせないものだったのが、戦後は「大麻は精神病になって凶暴化する」と、何の根拠もなしに決めつけられ、大麻がマリファナ、麻とまったく同じ植物であるという事実すら口にするのが憚れるようになった。それが今も続いている。

 

 

 

(ナポレオンと大麻)

 

  話は変わるが、日本でも戦後マニラ麻のロープが普及した。しかし、大麻と比べてひっぱりの力に弱いため、中心に針金のようなワイヤが補強用に撚り込まれていた。
  大麻の布やロープが海で頻繁に利用されたのは、木綿製の布やロープは海水(塩水)ですぐにボロボロになってしまったからだ。
  戦争の天才と言われていたナポレオンは、モスクワ遠征をくわだて、冬将軍と呼ばれるロシアの極寒で敗走し、それが命取りにもなったのはよく知られている。ナポレオン軍が極寒を押してモスクワを目指した理由は、一説によれば、当時、ロシアの皇帝がナポレオンとの約束を破り、ヨーロッパ大陸を海から包囲しようとするイギリス海軍に、最高品質の大麻布やロープを供給したからで、それをやめさせるためだったということである。ナポレオンはイギリス海軍のエネルギー源を絶とうとしたのである(当時はまだ石炭もない時代で、海軍にとって丈夫な帆が欠かせなかった。木綿製の帆は、潮風にあたると3ヶ月しかもたなかったが、大麻はもっと長持ちしたという)。
  (この話は「大麻草と文明」の著者 Jack Hererから電話で直接聞いたことで、ほかにヒットラーも大麻油を軽油化して戦車の燃料に利用しようとしていた、とも聞いた。)

 

 

 

(マッカーサー元帥とフィリピン)

 

  「I shall return. (私はフィリピンに戻ってくる)」とは、マッカーサー司令官率いるアメリカ軍が日本軍によってフィリピンから追い出されたとき、マッカーサーが口にしたと言われている言葉である。
  当時、アメリカはフィリピンを植民地化しており、アメリカ本土の大麻栽培を実質的に禁止する一方、フィリピンでマニラ麻のロープなどを生産させ、それをアメリカ本土に輸出しており、マッカーサー司令官はその会社の責任者だった。
  日本が敗戦した結果、マッカーサーはその言葉通り、フィリピンに戻ってきた。そしてロープ会社を再興した。彼の言葉は国家のためというより、彼の個人的事情が入っていたかもしれない。
  日本の敗戦後、アメリカはまたしても大麻弾圧政策をとったが、マッカーサーの会社が大儲けしたかどうかは確認していない。
  なおマッカーサーは1950年から始まった朝鮮戦争で、北朝鮮を核兵器で攻撃ですべきと進言したが、上層部の反対で解任された。

 

  この2本の映画をみれば、20世紀になって、大麻が国家権力にとって都合のいいように歪められてきたことがよくわかる。

 

  ヘンプ・フォー・ヴィクトリーのポスターは戦後、アメリカの骨董品屋で発見されたが、実物は少なく、時代を証言する貴重な一枚になっている。  (文責 前田)

 

 


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