大麻を長期間、嗜好目的で使用しても、健康悪化につながることはない

  20年間にわたって大麻を使用してきた者が、中年にさしかかっても、歯周病との関連はあっても、他の身体的健康悪化には関係しない。 (NORML 2016年6月8日 記事

 

  全米大麻合法化団体NORMLは、米国医師会雑誌精神医学(JAMA:The Journal of the American Medical Association Psychiatry)の発表(2016 Jun 1. doi: 10.1001/jamapsychiatry.2016.0637.)をもとに、次のような記事を掲載した。

 

 

 

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   テンピ・アリゾナ州:米国医師会雑誌(JAMA)に掲載された縦断的研究の結果によると、20年以上大麻を使用しても、中年期において心血管系リスクや肺の健康問題が増加することはなかった。
  米国およびニュージーランドの研究者から成る国際チームは、大麻の18歳以降の長期使用と38歳時の健康との関係について、1,037人を対象にコホート 研究を行った。特に、研究者らは大麻の長期使用が次の指標に対して悪影響を及ぼすかどうか評価した。それらの指標とは、歯周健康、肺機能、全身性炎症、メ タボリックシンドローム、ウェスト周囲、HDLコレステロール、中性脂肪、血圧、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、体格係数(BMI)および自己申告の健康状態。
  同時期の喫煙など潜在的な交絡因子を補正して解析した結果、長期にわたる大麻使用は、1つの指標(歯周健康)において健康上の問題との関連が認められたと研究者らは報告している。一方、「大麻使用者は、代謝状態が若干良好であった(ウェスト周囲の減少、BMIの低下、脂質組成の改善、血糖コントロールの改善)」と論文の著者らは述べている。このような結果は、以前の研究成果と一致するものである。
  「概して、私たちの研究成果は、20年以上の大麻使用が中年期の初期における健康問題に関連しないことを示した」と、著者らは結論づけた。「大麻使用者は、ほとんどすべての健康指標において、非使用者より全体的に劣ることはなかった」。
  このJAMAに掲載された論文は、客観的な検査による指標と調査によって、長期間の大麻使用がもたらす長期にわたる健康への影響を明らかにした最初の縦断的観察研究のひとつである。
  より詳細な内容を知りたい場合、NORML副会長のPaul Armentanoに連絡してください (paul@norml.org)。この研究の全内容「Associations between cannabis use and physical health problems early in midlife: A longitudinal comparison of persistent cannabis vs tobacco users」はJAMAに掲載されます。

 

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◎ JAMA誌に掲載予定の上記学術論文の要旨は下記。

    The Journal of the American Medical Association Psychiatry

 

米国医師会雑誌精神医学
  大麻使用と早期中年期の身体的健康問題との関連:
  大麻使用者およびタバコ喫煙者の縦断的(長期間にわたる通時的研究)比較

 

(抄録)

 

意義:
  米国における重要な政策変更後、政策策定者、ヘルスケア専門家、そして一般の人々は、大麻の娯楽的使用が、その後の人生で身体的健康問題と関連しているかについて、情報を探している。

 

目的:
  20年以上にわたる大麻使用と、早期中年期のさまざまな身体的健康指標との関連を調査すること。

 

試験デザイン、背景と参加者:
  1972~1973年にニュージーランド・ダニーデンに生まれた1,037人を対象としたコホート研究(※1)において、出生後38歳まで追跡調査された。95%がこのダニーデン集学的健康・発達研究(the Dunedin Multidisciplinary Health and Development Study)を終了した。18歳から38歳の20年間の大麻使用が38歳時の身体的健康に関連しているかどうか、喫煙、小児期の健康、小児期の社会経済的状況などを補正した後、解析した。さらに、26歳から38歳の12年間の大麻使用が参加者個々の健康の減退に関連しているかどうか、同様の健康指標を使用して解析した。

 

 ※1 コホート研究 : 特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生との関連を調べる観察的研究

 

曝露:
  18歳、21歳、26歳、32歳、38歳の時点で、大麻使用の頻度と大麻依存について評価した。

 

主要な評価項目および測定値:
  26歳および38歳時に、身体的健康に関する検査結果(歯周健康、肺機能、全身性炎症、代謝的な健康状態)と自己申告による健康状態の情報を得た。

 

結果:
   1,037人の研究参加者の51.6%(535人)が男性であった。このうち、484人が日常的な喫煙者で、675人が大麻を使用していた。大麻使用は、38歳の時点で歯周健康の減退、26~38歳の期間の歯周健康の個人 的な減退に関連していた。たとえば、18~38歳のマリファナたばこ年間消費量は、たばこ年間消費量を補正後も、38歳時において歯周健康の減退に有意に 関与していた(β= 0.12,95%信頼区間0.05~0.18,P<0.001)。さらに、26~38歳のマリファナたばこ年間消費量は、26歳時の歯周健康およびたばこ 年間消費量を補正しても、38歳時の歯周健康の減退に有意に関連していた (β= 0.10,95%信頼区間0.05-0.16,P<0.001) 。しかしながら、大麻使用は他の身体的健康問題とは関連していなかった。一方、大麻使用とは異なり、タバコ喫煙は38歳時点での肺機能、全身性炎症、代謝 系の健康の悪化と、自己申告による26~38歳の間の健康状態の悪化に関連していた。

 

結論および関連性:
  20年間にわたる大麻使用は、早期中年期における歯周病との関連は認められたが、他の身体的健康問題には関連していなかった。

 

 

 

    (翻訳:医療大麻を考える会事務局 福田医師監修)

 

 

 

 

 

(NPO法人 医療大麻を考える会コメント)

 

  20年にわたる嗜好目的での大麻使用は、歯周健康、肺機能、全身炎症、メタボリックシンドローム、ウェスト周囲、HDLコレステロール、中性脂肪、血圧、HbA1c、体格係数(BMI)および自覚症状に関して、タバコと比較してどのような害をもたらすか?答えは大麻喫煙は歯周健康(歯槽膿漏など)以外は害がなく、逆に代謝状態(肥満、糖尿病など)には若干有益ということである。
  大麻の急性的影響については多くの調査があるが、多数の長期大麻使用者を対象とした研究結果は今回が初めて。
 「大麻の乱用」とはいったい何なのか?
 まして医療目的で使用することを違法とし、患者を苦しめるだけの大麻取締法とは何なのか?
 これでも大麻は悪ですか?
 悪は大麻取締法そのものです。

 


 

 論文要旨 (全文は有料)
Associations Between Cannabis Use and Physical Health Problems in Early Midlife: A Longitudinal Comparison of Persistent Cannabis vs Tobacco Users
Meier MH, Caspi A, Cerdá M, Hancox RJ, Harrington H, Houts R, Poulton R, Ramrakha S, Thomson WM, Moffitt TE
Abstract

 

IMPORTANCE:
After major policy changes in the United States, policymakers, health care professionals, and the general public seek information about whether recreational cannabis use is associated with physical health problems later in life.

 

OBJECTIVE:
To test associations between cannabis use over 20 years and a variety of physical health indexes at early midlife.
DESIGN, SETTING, AND PARTICIPANTS:
Participants belonged to a representative birth cohort of 1037 individuals born in Dunedin, New Zealand, in 1972 and 1973 and followed to age 38 years, with 95% retention (the Dunedin Multidisciplinary Health and Development Study). We tested whether cannabis use from ages 18 to 38 years was associated with physical health at age 38, even after controlling for tobacco use, childhood health, and childhood socioeconomic status. We also tested whether cannabis use from ages 26 to 38 yearswas associated with within-individual health decline using the same measures of health at both ages.

 

EXPOSURES:
We assessed frequency of cannabis use and cannabis dependence at ages 18, 21, 26, 32, and 38 years.

 

MAIN OUTCOMES AND MEASURES:
We obtained laboratory measures of physical health (periodontal health, lung function, systemic inflammation, and metabolic health), as well as self-reported physical health, at ages 26 and 38 years.

 

RESULTS:
The 1037 study participants were 51.6% male (n = 535). Of these, 484 had ever used tobacco daily and 675 had ever used cannabis. Cannabis use was associated with poorer periodontal health at age 38 years and within-individual decline in periodontal health from ages 26 to 38 years. For example, cannabis joint-years from ages 18 to 38 years was associated with poorer periodontal health at age 38 years, even after controlling for tobacco pack-years (β = 0.12; 95% CI, 0.05-0.18; P <.001). Additionally, cannabis joint-years from ages 26 to 38 years was associated with poorer periodontal health at age 38 years, even after accounting for periodontal health at age 26 years and tobacco pack-years (β = 0.10; 95% CI, 0.05-0.16; P <.001) However, cannabis use was unrelated to other physical health problems. Unlike cannabis use, tobacco use was associated with worse lung function, systemic inflammation, and metabolic health at age 38 years, as well as within-individual decline in health from ages 26 to 38 years.

 

CONCLUSIONS AND RELEVANCE:
Cannabis use for up to 20 years is associated with periodontal disease but is not associated with other physical health problems in early midlife.

 

 


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