大麻関連情報は正確さが大切

  「アメリカ連邦政府は8月1日、大麻をこれまでのスケジュール1から2に移行する」との情報が流されている。大麻は1970年の規制物質法スケジュール1により、「社会的混乱をもたらし、医薬品としての利用価値はない」とされてきた。これがスケジュール2に移されると、医薬品としての使用が認められ、これまで州単位で合法化されてきた大麻の医療使用が全米で合法化されることになる。アメリカで50年近く続いた医療大麻規制が、ついに廃止されることになる。

 

  この情報はサンタモニカ・オブザーバー紙に掲載された。
  しかしThe Daily Chronic紙は次のように、この記事を批判する。

 

=====(引用開始)
  DEAは8月1日、大麻合法化はしない。

  カリフォルニア、サンタモニカの週刊紙サンタモニカ・オブザーバー紙は、この土曜日、アメリカ政府は8月1日、大麻を合法化し、近く全米50州で処方箋薬として合法化されるだろうと伝えた。
  オブザーバー紙によると、「DEA(アメリカ麻薬取締局)は現在のスケジュール1から2に移行することを考えている」。
  しかし、この情報の提供者は、この件に詳しいという匿名の弁護士以外にいない。
  この情報は興奮すべきことだろうか?答えはNOである。なぜならこの「ニュース」は正確さが疑われるからである。この記事はいくつかの大麻合法化推進サイトで、すでに事実として拡散されているが、DEAの弁護士という人物だけからの情報に基づいた推測と噂にすぎない。
  記事の2段落目には「DEAの弁護士はDEAの情報担当弁護士に、8月1日に全米で医療大麻が合法化される計画であると伝えた」とある。
  この2段落目を読めば、この記事が拙速で、ほとんど調査されておらず、単なる憶測または噂にすぎないものであることがわかる。
  同紙の記事の情報発信源は、匿名希望の弁護士だけである。しかし、まともなジャーナリストは匿名の情報のみに基づくネタを情報源として使うことは、まずない。なぜならそれらの情報は綿密に調査されていないからである。
  世界最大級の通信社 AP(Associated Press)のガイドラインによれば、記事は公表前に適切に調査され、情報源はひとつ以上でなければならないとされている。
  APによれば、例外的にひとつの情報源でもいい場合があるが、それはその情報の正確さに疑問の余地のない権威のある人物から発信された場合だけである。
  APの基準はほとんどのまともな通信社の基準にもなっているが、匿名情報が使用されるのは次の3つの条件がすべてあてはまる場合だけである。
  1.ネタは情報であって、意見や憶測ではなく、ニュースにとって核心的なものであること
  2.情報が情報提供者から匿名を条件にしないと提供しないと条件を付けられた場合
  3.情報源は信頼でき、正確な情報を所持する立場にあること

オブザーバー紙の情報は、司法省、麻薬取締局(DEA)やほかのメディア情報などがないが、大麻関係者はこのような(意図的に流された)誤報に、だまされてはならない。
このような情報が、ブログやFBで流されることは痛ましい。(以下、例は省略)

 

  しかし、これはDEAが大麻をスケジュール1から2に移行しないということではない。この4月、DEAは2011年から始まったスケジュール移行の要望に回答する準備はできていると述べている。2015年7月の上院議員Elizabeth Warren氏ら7名の質問に答えて、DEA代表は5年にわたるこの要望に回答するつもりであることを認めた。DEAの回答期限は7月1日となっている。
=====(以下略、翻訳ここまで)

 

 

 

  もしこのような移行が8月1日に行われるか、あるいはアメリカ連邦政府によって公表されたら、現在進行中の山本医療大麻裁判にも大きな影響があるのはまちがいない。
  しかし根拠のない、あるいは乏しい情報に踊らされるのはエネルギーの無駄使いである。「ついにアメリカ政府が医療大麻を容認」という書き込みが、昨年、数万というアクセスを集めたことがあるが、内容は数年前の記事の寄せ集めにすぎなかった。アクセスやいいねをとるのが目的だけの書き込みもある。そんなものを読まされるのは迷惑である。
  APの記事も偏りがないとは言えず、裏や行間を読む必要があるのは当然だが、匿名情報源に関する基準には同意できる。
  日本には自称ジャーナリストがいて、大麻関係者のなかにも何人かいる。環境学博士が突然ジャーナリストを自称して、エエッと驚かされたことがある(もちろん証拠あり)。またジャーナリスト学校出身なのにイベントオーガナイザーなのかジャーナリストなのかわからない人もいる。事実や真実より、イベントの成功のほうが重要なら、「ときどきジャーナリストみたいなことやってま~~す。でもときどきどうでもよくなりま~~す」と正直に言うべきである。ジャーナリストには受け手への責任がありますからね。(訳・文責 前田)

 

 


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