山本医療大麻裁判 始まる 2016年3月11日

 

  2016年3月10日午後3時、東京地裁814法廷で、大麻取締法違反事件被告人山本氏の初公判が開かれた。
  20席の傍聴人席に対して、約50人の希望者が殺到し、法廷の前で列を作った。
  初公判は検察が押収した大麻などの証拠を提示、山本氏と弁護側は医療利用を禁止した大麻取締法は憲法違反だとして徹底的に争う構えをみせた。
  今回の裁判は山本氏個人の問題ではなく、「末期がん、難病患者、難治性疼痛など、ほかに治療法がない病気に苦しむすべての患者さんが大麻を治療のひとつとして選択できるようにすべき」(山本氏)と目的がはっきりしている。
  この裁判で山本氏が無罪を勝ち取ることにより、「患者を逮捕しない、患者のための特別制度の必要性、法改正」まで視野に入ってくる。
  次回は4月27日、弁護側の証拠提示がなされる。検察は弁護側証拠のすべてを「証拠採用不同意」という戦術で拒否してくるのは見えている。これに対して弁護側がどのように対抗するか手腕が問われる。
  次回公判の傍聴席は初公判と同じ20席しかなく、傍聴できない人が多数でると思われる。初公判でもそうだが、傍聴人があふれるという状況は、検察、裁判官にはプレッシャーとなるので、次回も多くの傍聴人をお願いしたい。(途中で入れ替えることも検討しています。)
  今回の公判には朝日、読売などのメディア関係者の傍聴があり、今後の動向に注目している。記者会見では、福田医師(「医療大麻の真実」の著者)に、医学的につっこんだ取材が集中した。
  海外のメディア関係者を対象にした記者会見も、近く開催予定。日本の医療大麻裁判が海外で報道される日も遠くはない。

 

  山本正光医療大麻裁判 第一回公判 資料

 

  東京地方裁判所 刑事第13部C係
  平成28年3月10日 15時
  東京地方裁判所 第814法廷

 

  1) 公訴事実に対する被告人の意見              被告人 山本正光
  私が起訴状に書かれているとおり、大麻を所持していたことは間違いありません。
  しかし、私はC型肝硬変、肝細胞の末期がんで、現代の医療では治療できません。どうしたら良いか調べていたら、大麻はがんに有効であり、苦痛も緩和する 効果があると知りました。私はどうしたら合法に入手できるか調べましたが、それは無理でした。そこで、仕方なく治療のために大麻を使いました。私は治療に 使うためだけに所持していたのです。大麻を使用した効果ははっきりと現れました。がんは小さくなり、苦痛も減り、食欲も出たのです。
  しかし、逮捕されて使用できなくなり、今、私の病気はとても悪くなりました。
  どうして自分の命を救うために大麻を所持したことが許されずに、罪になるのか理解できません。
  無罪であるべきであると考えます。
以上

 

  2) 公訴事実に対する弁護人の意見            主任弁護人 山崎 浩一
  弁護人  安藤 豪
  本件被告事件に対する弁護人の意見を以下のとおり陳述する。
  被告人が大麻を所持していた事実は認める。しかしながら、以下の理由により被告人は無罪である。
  第1に 被告人は自身の末期癌の治療に使用する目的、すなわち医療目的で所持していたものである。大麻は疾病に対して有効であり、モルヒネ等と比較しても その有害性は著しく小さい。それにもかかわらず大麻取締法は医療目的での所持および使用をも禁止する点において、憲法13条、25条、31条に違反するも のであり、無効である。よって無罪である。
  第2に、大麻取締法24条の2第1項は、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。」と規定しているが、被告人が医療目的で大麻を所持する行為は、「みだりに」という構成要件に該当せず、無罪である。
  第3に、被告人は、末期癌を治療し、かつ苦痛を緩和する目的で大麻を使用するために所持をしていたのであり、被告人の生命、身体に対する現在の危難を避け るために,やむを得ずにした行為であり、これによって生じた害は避けようとした害の程度を越えなかったのであり、緊急避難として無罪である。
  第4に、このように正当な目的のために相当な手段で行った行為は、実質的違法性を有しないことから無罪である。
以上

 

  3) 弁護人冒頭陳述(予定) 概要
  第1 本件被告事件の本質

  大麻使用は、被告人の生存と健康をかけた問題であり、大麻取締法に基づく大麻所持の有罪・無罪および量刑だけを問題とする事件ではない。
  被告人が今後、病気を改善し、病気の苦痛から逃れ、健康と生命を守るために大麻の使用が許されることを明らかにしなければならない。
  および非科学的で合理性のない理由で有用な大麻の使用を禁止されることは人道に反することである。
  被告人以外にも同じ状況におかれた多くの患者にとっても極めて重要な事件である。
  被告人・弁護人としては、医療目的で大麻を使用すること、そのために所持をする行為は処罰されるべきではないことを明らかにする。

 

  第2 被告人の病状と現代医学での対応の限界
  第3 被告人が大麻を使用するにいたった経緯と使用状況
  第4 大麻の医療的有用性
  第5 医療大麻の有害性の程度
  第6 大麻取締法の制定経過と立法事実の欠如
  第7 世界各国の大麻規制の変化と現状
  第8 医療目的での大麻の使用および所持を禁止する規定の違憲性
  第9 「みだりに」の解釈
  第10 緊急避難
  第11 実質的違憲性の欠如(超法規的違法性阻却事由)
  第12 結論

 

参考資料

 

  山本氏逮捕の経緯
  山本氏は横浜のあるレストランチェーンの元総料理長で、フランスで料理を勉強するなど、まじめな生活を営んできましたが、2010年に発見された肝臓がんが進行し、2014年に末期がんと診断されました。(ステージ4b 肺、リンパに転移。肝硬変)
  がん専門病院で治療を受けましたが、抗がん剤治療は副作用が辛く腫瘍マーカーもよくならないため、抗がん剤治療をやめ医療大麻よる治療をはじめました。
  自宅にて大麻栽培を行い、喫煙という形で使用し続けたところ、病状は大きく回復、また精神的にも自殺願望が消えるなどといった効果がありました。
  日本では大麻が禁止されているため、闇市場での値段は高く(1g5000円程度)、病気で失業中の山本氏には高価なため、仕方なく、自宅の一室で栽培しておりました。山本氏の大麻栽培の目的は、自らを治療するためのものだったのです。
  しかしながら、2015年12月2日、山本氏は路上で警官に職務質問され、大麻所持(数グラム)で逮捕され、その後、自宅から栽培中の3本(200gあまり)も押収されました。
  逮捕後の22日間にわたる警察での拘留により、改善しつつあった病状が再び悪化、2月3日には緊急手術を行ないました。
  山本氏は、「患者は、大麻による治療を選択肢のひとつとして選ぶことができるはずである。それはリスボン宣言による患者の権利である」と述べています。また、医療目的の所持栽培で逮捕するのは人権(生存権)を保障した憲法に違反し、無罪だと主張しています。

 

  ※「患者の権利に関するリスボン宣言とは
  患者の権利に関するリスボン宣言とは1981年の世界医師会総会にて採択され、医師や医療従事者、医療組織が保障すべき患者の主要な権利について述べています。
  1-c 「患者は、常にその最善の利益に即して治療を受けるものとする。」
  3-a 「患者は、自分自身に関わる自由な決定を行うための自己決定の権利を有する。」
などの条文で成り立っています。

 

  ■ 世界から完全に遅れを取る日本の医療大麻事情
  医療大麻は現在、アメリカやカナダ、オランダ、イギリス、フィンランドなど欧米諸国を中心に世界各国で採用されています。しかし、日本では、1948年に施行された大麻取締法により、たとえ医療目的であっても所持や栽培、譲渡などが禁止されています。
  大麻は、がん、喘息、緑内障、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、自己免疫疾患、アルツハイマー、腎臓疾患、糖尿病など240種類の疾患に効果 があるといわれ、特に痛みや痙攣、炎症を抑える効果があるとされています。先進10カ国(G10)で医療大麻を利用できないのは日本だけです。
  アメリカでは23州とワシントンD.C.で合法化され、連邦法の改正も議論されています。ヨーロッパは各国でルールを決めて実質的な合法化や非犯罪化が行われています。
  大麻は、アルコールやタバコよりも安全で、世界保健機関(WHO)も大麻を麻薬の区分から外そうという動きがあります。

 

  ※資料
  ・ 医療大麻の真実 マリファナは難病を治す特効薬だった! 単行本 福田一典(著)
  ・ NPO法人 医療大麻を考える会 http://iryotaima.net/
  ・ 2015年11月12日 朝日新聞 「合法大麻、米で育つ 医療や娯楽 数年で1兆円規模にも」 http://www.asahi.com/articles/ASHB02HBHHB0UHBI00K.html

 

  【本件に関する問い合わせ先】
  NPO法人 医療大麻を考える会 広報担当:長吉(ながよし)
  https://www.facebook.com/iryotaima.net/
  TEL/FAX 03-6687-1170 / CellPhone 070-6964-5414(長吉)

 

 


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