山本医療大麻裁判 証拠1.

  裁判では、例えばアメリカの国立がん研究所の最新研究報告より、日本の研究所の報告書のほうが、内容が古くてレベルが低くても、証拠価値が高いことがある。
  画像(左)は厚生労働省「第3次対がん総合戦略研究事業」の「がん性疼痛などの緩和のための病態生理に基づいた新たな治療法の開発」のひとつとして、国立がんセンターが助成金を受けて研究したものの中間報告である。(平成22年会議資料)
  報告書のタイトル(画像 右下)は「ドロナビノール(マリノール)の臨床研究の研究」で、ドロナビノールというのは大麻の有効成分THCを化学的に合成したもの。アメリ カでは大麻の代替品として、臨床研究などに合法的に利用されている。それを使った「海外の臨床研究報告を研究」したのが今回の報告書である。日本が独自に ドロナビノールを試用して臨床研究したものではない。
  この報告書では化学合成THCを使用した例しか紹介されていないが、それは日本では天然型大麻の処方が違法なので、研究しても意味がない、あるいは将来の 医療使用につながるような研究はしてもらいたくないという厚労省の意向が反映されているのかもしれない。なお化学合成THCは麻薬扱いで、日本でも麻薬免許をもつ医師なら患者に処方できる。厚労省も化学合成THCで研究すれば事足りるという考え方だが、実際に日本に輸入され、臨床使用された例はない。合成 THCは天然型に比べて効果が安定せず、副作用も強く、アメリカでも患者の評判はよくなく、天然型大麻が合法化されているところではほとんどの患者が天然型を選択する。

 

  しかし報告書はそれでもつぎのような効果をあげている。

 

1.末期がん患者は全体の60~80%が悪液質とよばれる食欲低下をともなう消耗状態に陥るが、治療は困難である。患者には食欲低下以外に疼痛や倦怠感もあり、心身両面から包括的に治療を進めなければならない。

 

2.海外では悪液質の治療薬として、大麻(マリファナ)の成分であるカンナビノイド類が治療薬として認可されている。

 

3.ドロナビノールの食欲増進効果は最大24時間まで続く。ステロイドによる食欲増進作用より安全である。めまい、眠気、過度の多幸感、異常思考などの不快な副作用は、適切な容量を用いればコントロールできる。

 

4.ドロナビノールには、がん化学療法にともなう悪心・嘔吐の抑制作用がある。

 

5.ドロナビノールには鎮痛作用がある。オピオイド鎮痛薬(モルヒネなど)と併用すれば、効果は相加・相乗的に増強され、オピオイドの耐性(だんだん効かなくなること)が緩和され、鎮痛効果が維持された。

 

6.がん以外の慢性疼痛でオピオイド鎮痛薬があまり効果のない場合にも効果が認められる。

 

7.睡眠の質の向上もみとめられた。

 

8.今後、悪液質を伴う難治性がん性疼痛患者を対象とした臨床試験を進めていきたい。
(詳細は、日本の研究 「がんと大麻(カンナビノイド)  国立がんセンターの研究」

 

  大麻に含まれるカンナビノイドには有害性しかない、医療効果はない、だから禁止政策を続けると言い張ってきた厚労省と裁判所は、この資料をどう考えるのだろう。

 

 


← 前ページに戻る

← HOMEに戻る