厚生労働省所管の国立精神・神経医療研究センターによる大麻の医療研究

  国立がんセンターの報告については、すでに紹介した。
  日本の権威のある研究所の報告として、次の論文も非常に重要である。

 

  論文(英文)は国立神経医療研究センター神経研究所(National Center of Neurology and Psychiatry)の免疫研究部長、山村隆氏が書いたもので、山村氏は多発性硬化症センターのセンター長でもある。
  Cannabinoids and the immune system : Potential for the treamtnment of inflammatry diseases ?
  内容は「カンナビノイドと免疫システム:炎症性疾患治療の可能性はあるか?」
というもので、2005年、 Journal of Neuroimmunology (神経免疫学誌)に共著として掲載された。
  論文はカンナビノイドの抗炎症作用が効果のある可能性のある疾患として、多発性硬化症、リュウマチ性関節炎、糖尿病、アレルギー性喘息をあげている。
  この論文が発表されたのは2005年で、カンナビノイド研究の進歩のスピードをみれば、もはや常識となっているものも多い。しかし人体のカンナビノイドシステムを、特に神経免疫という難病にかかわる疾患に関して詳述しており、価値は高い。
  しかし、論文の内容は言うまでもなく、この論文が厚生労働省所管の国立研究開発法人の研究者によって発表されたということに、特に大きな意義がある。
  これだけ世界的に大麻の医療価値が認められるようになってきたにもかかわらず、厚生労働省は古臭くもはや通用しなくなった学説や資料をひっぱりだして、大麻取締法を維持しようとやっきになっている。大麻には医療的価値がないというアメリカ連邦政府の崩れそうになっている見解にしがみつき、今も医療効果はないという立場をとっているのである。
  この論文は厚労省が所管する研究センターの専門家が書いたものである。もし多発性硬化症の患者が、政府の無策により入手困難な状態に置かれている大麻を緊急避難的に自家栽培して逮捕されたとしても、裁判所は「あなたの多発性硬化症には大麻は効果はありません。ほかにいい薬はたくさんあります。あなたは医者ではないし、医学の知識はありません。悪法でも法は法なり」というのだろうか。(はい、裁判所はそのように言います)
  多発性硬化症は難病に認定された、ほかに効果的な治療法がない疾患である。その患者が生存するために必要な大麻を栽培したからといって、どうして刑務所に入れられなければならないのだろうか。どうして病院で大麻治療を受けられないのだろうか。憲法が保障する基本的人権の問題であることを、裁判官や政治家は認識すべきである。
  大麻がそのような疾患に効果があることを、医師として科学者として研究し発表したこの論文は、厚労省を恐れていまだに自由にものを言えない風潮のなかで、非常に意義のあることである。

 

  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター (National Center of Neurology and Psychiatry)は、日本の厚生労働省所管の国立研究開発法人で、国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)である。
  高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律第3条第3項では、目的を「精神疾患、神経疾患、筋疾患及び知的障害その他の発達の障害に係る医療並びに精神保健に関し、調査、研究及び技術の開発並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、精神・神経疾患等に関する高度かつ専門的な医療及び精神保健の向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」としている。
  国はこれらの法律に基づき、大麻取締法4条を即時廃止し、医療大麻の調査、研究及び技術の開発並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、政策として医療大麻の研究と患者による使用に道を開かねばならない。その目的の一環として、「医療大麻基本法」を制定し、研究者と患者への供給を確保しなくてはならない。


← 前ページに戻る

← HOMEに戻る