先週、グアムに行ってきた。
グアムの最高裁が医療大麻合法化を決めたのが昨年11月で、1年以内に制度化して実施しなくてはならないとすればあと4ヶ月ほどしか時間がない。
ところが、最近、保健省が調査したところ、グアムはアメリカ本土から医療大麻を輸入できないことがわかった。理由はアメリカ連邦法では大麻は「スケジュール1」に指定されていて、いまだに「医療的価値はなく、社会的混乱をもたらすだけ」とされているため、グアムは本土から輸入することができないのだ。グアムが独自に医療大麻を合法化するのはかまわないが、そのために必要な大麻はグアムで何とかしろということなのだ。
実施までの時間がないのに大変だ、ということで、私はいくつか提案を持っていった。
ひとつはオランダ政府は国際法的に合法的に医療大麻を海外に輸出することができるという情報。これはグアム政府とオランダ政府が合意すれば可能だ。しかし、アメリカ連邦法の規制により不可能なことがわかった。
そこで屋外で栽培するとしても、グアムには医療レベルの大麻栽培の経験のある人がいない。大麻の有効成分のTHCやCBDの濃度や比率によって、効果のある病気が異なる。神経系疼痛ならTHCが多い方が効果的だ。
しかし成分についての知識やその分析方法などもグアムには経験がない。
そこで室内栽培をすることになった。大規模な設備が必要で、ずいぶん金もかかる。照明器具や換気設備も必要だし、専門家も必要だ。しかしグアムは雨が降ったり風が強かったりで、室内にするしかないと判断したようだ。
あやういながらもグアムの合法化はすすんでいる。
私が今回行ったのは、この11月にグアムで大麻医療が始まるとして、始まったと同時に少なくとも20人ぐらいの日本人患者を受け入れてもらいたい、日本人を後回しにしないでもらいたいとお願いする目的もあった。患者を受け入れてもらい、そこで臨床試験を実施したい。
日本の厚生労働省も最高裁も、大麻取締法第4条で臨床試験ができないようにしておきながら、「大麻に効果があるという医学的エビデンス(証拠)がない」といって医療使用を禁止してきた。日本ではネズミを使った動物実験しかできないのだ。しかし日本人はネズミではない。
そこでグアムで合法的に、日本人患者を対象にした日本人医師による臨床試験をしエビデンスとして利用したいのである。これは将来の日本の医療大麻合法化にとって欠かせないステップだ。
ネズミとつきあってきた多くの研究者や学者は、グアムで臨床試験をするようになるだろう。
日本での合法化は、グアムですら予想できない問題に直面したように、いろんな問題がでてきて。実現までまだ何年かかかるだろう。それまで待てない患者がグアムで安心して治療を受けられる環境づくりが重要だ。
例えば、グアムのどこの病院で診断を受けるのか、許可申請手続き、どこで入手してどのホテルで吸ってもいいのか、旅行費と滞在費はどれだけかかるのか、これらに関する具体的情報が必要になる。これは患者が何人か受け入れられた時点で、「グアム医療大麻観光案内」というガイドブックを書くことにする。
まずは神経因性難治性疼痛の患者を対象に考えている。日本人の多くは慢性の痛みに苦しんでいる。しかし神経の損傷による難治性疼痛は治療法がほとんどない。大麻が最も効果的とされる疾患だ。脊髄損傷による疼痛やカウザルキーなどのような患者さんからの連絡をお待ちしています。
グアムは白い砂浜が何キロも続く、温暖で平和な島だ。人々も暖かい。そこの人たちが日本人患者を受け入れることで雇用の促進にもつながれば、これほど素晴らしいことはない。