ドイツ旅客機墜落 誰も言わないが

  2015年3月24日、スペインのバルセロナからドイツのデュッセルドルフへ向かうドイツの格安航空会社(LCC)がフランス南東部の山岳地帯に墜落し、日本人2人を含む乗客乗員150人全員が死亡した。
  調査のなかでパイロットの一人が精神疾患を病んでいて、意図的に墜落させた可能性があるというショッキングな情報が明らかにされた。
  パイロットは以前から会社の調査で精神病的傾向があることもわかった。ルフトハンザは31日、同氏が一時期、数カ月にわたり訓練を中断し、その後、2009年に訓練を再開した際、「過去に深刻なうつ病の症状」を患ったことを示す医療記録を学校側に提出していたことを認めた。

 

  パイロットの顔写真やランニングをしている写真は公開されたが、詳しい病名などについてはその後も明らかにされていない。プライバシーに関わるということなのかもしれないが、顔写真まで公開したのだから、病状の詳しい調査と報告もすべきではないだろうか。
  日本にもうつ病患者は多いが、今回の事故がうつ病が原因だとしたら患者にはやりきれない感情が残るだろう。統合失調症の患者は社会に危害を加えるという根拠のない恐れがあるが、それにうつ病も加えられることになりかねない。
  しかし、うつ病が原因でこのような事件を起こすとは、私の経験上からも、考えにくい。

 

 

 

(「うつ病」より、「うつ病薬」が原因だったのではないか?)

 

  厚労省ホームページによれば、うつ病は「眠れない、食欲がない、何をしても楽しめない、抑うつ気分(憂うつ、気分が重い)、何にも興味がわかない、イライラして何かにせき立てられているようで落ち着かない、悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる、思考力が落ちる、死にたくなる」などの症状があると書かれている。
  日本では10年ほど前から、「うつは心の風邪、病院で薬で治ります」というキャンペーンが張られている。精神科、神経科、心療内科では短時間の診断の後、多種類の薬が処方される。しかし、薬を飲み始めてから症状が悪化したと訴える患者は多い。
  製薬会社グラクソ・スミスクライン株式会社のホームページには、うつ病に関連する不安や睡眠障害に、ベンゾジアゼピン系精神薬が効果があると書かれている。
  しかし、ベンゾジアゼピンには強い依存性や退薬症状があり、世界各国で要注意医薬品として扱われている。副作用も多く、例えば次のようなものがある。

 

☆耐性と依存症 (ベンゾジアゼピン系薬物の慢性的な使用における主な問題は、耐性と身体依存の形成である。耐性は薬理作用の減少として生じ、ベンゾジアゼピンの鎮静、催眠、抗てんかん、また筋弛緩作用に対して比較的急速に形成される)

 

☆奇異反応 (てんかん発作、攻撃性、暴力、衝動性、易刺激性、自殺行動など)

 

☆離脱症状
ベンゾジアゼピン系薬からの離脱による最も多い症状は、不眠、消化器問題、震え、恐怖、激越、筋けいれんである。それほど多くはないが易刺激性、発汗、離人症、現実感喪失、刺激への過感受性、抑うつ、自殺行動、精神病、発作、振戦せん妄が生じることもある。重篤な症状は、たいてい突然あるいは急速すぎる離脱によって生じる。突然の断薬は危険であるため、徐々に減量する処方計画が推奨される。

 

  (参考文献)
    
ウィキペディア 「ベンゾジアゼピン」
    ウィキペディア 「ベンゾジアゼピン依存症」
    ウィキペディア 「ベンゾジアゼピン離脱症候群」

 

  つまり、うつ病にともなう不安と睡眠障害の治療にベンゾジアゼピン系の向精神薬を使えば、短期間のうちに効果がなくなり(急速な耐性上昇)、長期間(わずか数ヶ月)使用すれば逆に不安と不眠が強くなり、その他のいろんな副作用もでてくる。しかし、依存性(禁断症状)が強いためやめられず、また、急にやめると危険なので1年近く続けなければならないということだ。心の風邪を薬で治すどころか、一度はまったらなかなか抜けられず、患者は絶望のふちをふらふらと何年も何十年も歩き続ける恐れもある。
  このような危険性の強い薬を使いこなせる精神科医は、いったい日本に何人いるのだろうか?薬の添付書類に書かれた効能と使用上の注意を読んだだけで処方できるような安全なものではないのである。ちなみにアメリカFDAは長期使用を禁止しているが、日本では医師の判断にまかされている。
  まだ誰も言わないが、私は今回の事故で、パイロットがうつ病治療にこのような薬を使っていなかったか調査すべきだと思う。普通のうつ感情と今回の行動には開きがありすぎるのだ。確かにうつ病患者は「死にたくなる」ことがあるが、それは個人レベルの自殺が多く、今回のような事件など面倒くささが先にたってできないことがほとんどだ。
  しかし、今後の調査のなかで、うつ病薬に問題があったのではないかという疑問はでてこないのではないか。多国籍企業の製薬会社は国を動かすほどの力をもっていて、それに反抗するような者はいないだろうからだ。誰もが忘れかけた頃、真相が明らかになることはあっても。

 

(ベンゾジアゼピンとマリファナ)

 

  ベンゾジアゼピンの効果として、不安障害、恐怖症、不眠、てんかん、痙攣、アルコール依存からの脱却などがあげられている。しかしこれらは大麻にもある作用で、欧米で医療大麻が合法化されているところでは、適応症に含まれていたり、処方されたりしている。
  大麻には耐性上昇(効果が弱くなる)も依存性(禁断症状)もほとんどないことが医学的事実になっている。リラックスして幸せになってしまう(多幸感)とか食欲がでるという副作用もあるが、有害な副作用とは言えない。症状を悪化させるという報告もない。 医薬品としては、すぐに効かなくなったり、危険性や禁断症状の強い薬より、安全性の高いものを優先すべきというのは、医薬品にかかわる者にとっては常識だ。

 

(医療大麻専門医の必要性)

 

  ただ、大麻を医療に使用する場合でも、医師の診断と経過観察が必要だ。なぜなら、大麻より効果のある治療法があるかもしれないからだ。私の個人的経験からいっても、胆嚢結石の激痛にモルヒネ注射はよく効いたし、顔面神経麻痺にはステロイド、性病には抗生物質、痔ろうは手術が効果的だった。医療目的の場合、大麻より安全で効果的な治療法がない場合においてのみ、大麻を使用すべきだ。大麻より安全で効果的な治療法があるのに、あえて大麻を使う必要はない。
  ただ日本において、大麻の有用性(と副作用)と安全性(と危険性)について、専門的知識をもった臨床医がおらず、医科学的調査研究もできないような法律があることが問題なのだ。
 アメリカには医療大麻臨床医としてJeffrey Hergenrather氏のような医師がたくさんいる。
  彼は大麻臨床医協会代表 、大麻相談医(1999年~現在)、アメリカ医療大麻学会(AACM)副会長、国際カンナビノイド研究協会会員で、特に大麻によるクローン病、潰瘍性大腸炎の治療が専門分野だ。
  10年近く前まで、アメリカでは医師がある患者の病気に大麻が効果があると言っただけで「教唆」などの罪で逮捕されたり、医師免許剥奪という弾圧が行われていた。今後、日本で医療大麻合法化が現実化してきたとき、日本政府がそのような愚かなことをしないことを願うばかりである。

 

  (関連記事)
    ○ 大麻の医療効果(米医療大麻合法州の適応疾患)

    ○ 医療大麻適応疾患リスト

 
   

 


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