「医療大麻を考える会」は1999年、「大麻の医療使用合法化」を目指して、難病で苦しむ患者さんたちを中心に発足しました。しかし、社会の大麻についての誤解と偏見は根強く、法の壁も厚く、幅広い共感を得ることには困難がともないました。
その後、この15年で、アメリカを始めとする諸外国で医療大麻研究がすすみ、合法化される国が増えました。大麻に厳しい法的措置をとっているアメリカでも、2015年現在、23州(と1特別区)で合法化されるなど、大麻の医療使用をめぐる環境は大きく変化しました。
最近の欧米の医学的研究により、大麻には癌や脊椎損傷や悪性リューマチなどの、辛くて治りにくい痛みを緩和する効果があり、がん治療の副作用を軽減することが明らかになっています。
ほかにも喘息、偏頭痛、うつ病や、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クローン病などの治療法の限られた難病にも効果があるという臨床報告が出ています。ほかの医薬品ではほとんど効果がなくて、大麻が非常に効果があるという病気がたくさんあるのです。このような患者さんが自分の病気に試してみたいと考えるのは当然です。
ところが日本では、「大麻取締法第4条」により大麻の医療使用が例外なく禁止されており、医師や病人であっても使うことはできません。治療目的で使用した病人が、病院ではなく、それより恐ろしい刑務所に入れられてしまうのです。そこまでして大麻の医療使用を実質的に禁止しているのは、先進諸国のなかでは日本だけです。
依存性(禁断症状)や耐性上昇(だんだん効かなくなること)のあるモルヒネ系鎮痛剤や、強い細胞毒性をもつ抗がん剤が治療薬として使用されているのに、依存性がほとんどなく実質的な致死量のない大麻が刑罰をもって禁止されている状況は、患者さんや、その家族にとっては納得できるものではありません。
国民は憲法により幸福追求権と生存権が保障されています。これらには治療を選択する権利も含まれます。患者さんには効果の可能性のある薬を使用する権利があるはずです。 死は不可避なものですが、できるだけ苦痛がないようにというのは、今は健康な人を含めて、すべての人の願いでもあります。
大麻を医療の選択肢のひとつとして、国民が選択できるように法律を改正する必要があります。
2011年、「医療大麻を考える会」は NPO法人(特定非営利活動法人)として認められ、新しく出発することになりました。多くの海外情報が入ってくるなか、私たちはこの日本でどのようにして医療大麻合法化をすすめていけばいいのかを考えていきます。
国会議員、官僚、医療関係者、科学者、報道関係者の皆さんたちが、健康を取り戻したいという患者さんの切実な声に真摯に耳を傾け、この法律を改正するために、ご助力くださることを心からお願いします。
「大麻取締法 第4条は、憲法違反である。」 画像は最高裁判所 大法廷